け い び い ん さ ん

＿＿６ ページ6

.



望「おいっ！胡桃っ！何してんねん！！」




熱い、そう思ったときには
もう全身びしょ濡れで
肌が少しヒリヒリと痛む。



胡桃が私の持っていたトレーを
わざとひっくり返した。



……そんなのは
いくらバカな私でも
簡単に理解できた。







望「Aっ！大丈夫かっ？！」



全身びしょ濡れのまま
床にへたり込む私に
慌てて駆け寄る望。



『……うん、大丈夫。大丈夫だからっ。』




望は
自分のポケットから取り出したハンカチで
必死に私の体を拭いてくれようとするけど
その手はあっさりと
胡桃によって制止されてしまう。







胡桃「……こういうのが目障りだったんだよね、ずっと。どんな状況でも自分ばっかり悲劇のヒロインぶってさー。……言っとくけどねー、私は、Aのこと親友だなんて思ったこと一度もないからっ！！」



そう言った胡桃は
望の手に握られたハンカチを奪い取り
私に投げつけた。







望「……おいっ！」



胡桃「行くよ、望。」



望「………やけど…Aが…。」



胡桃「いいから行くのっ！！ほら、早くっ！！」







胡桃に腕を引かれながらも
私を心配してくれる望は
また、眉をハの字に下げ
申し訳なさそうな顔で私を見る。







胡桃「望に手出したら許さないから！」




.

＿＿７→←＿＿５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す