け い び い ん さ ん

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「なーに、ニヤニヤしてんの〜っ？」



大毅さんと別れ
受付に戻ると
私の顔を見た同僚が
心配そうな顔から一変
フニャっと笑顔になり
そんなことを言ってきた。







『べ、別にニヤニヤは…して…ない。』



「はいはい、分かりやすい分かりやすい。……でも、スッキリした顔してんね。吹っ切れたみたいで何よりだーっ。」



そう言って
「サボった分、働けよ〜っ？」と
私の肩をベシッと叩く。







『望のこと、忘れたわけじゃないし、嫌いにもまだなれてない。……だけどね？なんか、吹っ切れた！大好きだけど、望は望の人生を楽しく笑って生きて欲しいなって。』



「ふ〜ん……。さては、あの警備員さんのおかげだな？」



同僚がそうやって
たまたま受付から見える場所を
見回っていた大毅さんを指差し
ニヤニヤと笑う。



『ちっ、違うってば！！』



「うっわ、顔赤くしてー、分かりやすっ。」



『もう、からかわないでよーっ！』





だけど
彼女の言う通り
私の心にいるのは大毅さん。



大毅さんのイタズラっぽい笑顔
たまに見せる男らしい姿……



大毅さんの全部が
私の心を占領している。







「僕の顔、何かついてます？」



気づけば
ずっと大毅さんを目で追っていた私は
見とれ過ぎてなのか
大毅さんが近づいてきていたのには
気づかなかったようで……







「そない見られたら、いよいよ穴開くで？」



『……うわっ！！！』



受付のカウンターに
顎をヒョッとのせた大毅さんが
私の目の前に現れた。




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