007:ほっといて、なんて ページ7
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何回かきたことあるコンビニなのに
気持ち悪いくらい、ぎごちない
ひとつ小さな深呼吸をして
いちごミルクを手に
レジに向かった
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山田「……、」
先客の後ろに並んで
順番を待つ
まぁ、たしかに
大ちゃんが言うように
可愛らしい感じ
いい匂い、って言ってた
いのちゃんは……
まぁ、置いとくとして
「お待たせしましたー」
呼ばれただけなのに
背筋が一瞬のびる
やべ
右手と右足、同時に出すとこだった
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「108円になりまーす」
小銭を出して
少し表情を確認してみる
「92円のお返しでーす」
とりあえず、キャップのおかげで
たぶん俺の表情は見えてないはずだし……
「あの、」
山田「え?……あっ、」
気がつくと
お釣りを持った手を
どうしていいか分からない顔をして
顔をのぞき込まれた
やべ、
山田「あっ、すみません……」
慌てて釣りとレシートを受け取ると
小さな手が不可思議に動いた
「……っ!」
山田「あ、」
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気がつく親指の腹には
薄く赤い、ひとつの線
え、嘘……
山田「あ、ごめんなさい!あの……」
「いえ、大丈夫なんで……」
やばい、どうしよう
小さな傷だけど悪いの俺だし……
でも、コンビニの外で二人が……
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「ほんとに大丈夫なんで、気にしないでください」
山田「すみません……」
頭の中がパニックになったまま
いちごミルクの入った袋を持って
足早にコンビニを出てしまった
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有岡「おい、山田おせぇぞ」
伊野尾「ねー、いい匂いしたよね?」
興奮気味の二人には
口をついた適当な返事しかできなくて
罪悪感が脳裏にこびりついて
少しずつ厚みを増す
本当は、俺が
もっとちゃんと謝らなきゃ
いけなかったはずなのに
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気まずそうで
ふと顔をしかめた
あの子の表情が
心の底に染みついた
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008:ショートヘアちゃんの名前→←006:手っ取り早く、ね
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▼SOLA(プロフ) - 有岡担さん» コメントありがとうございます。いま連載中のお話が二つあるので、そのお話が完結したら検討してみますね。 (2020年5月17日 15時) (レス) id: 52a307bcb1 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - めちゃくちゃ面白かったのでafterstory読みたいです! (2020年5月17日 2時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:▼SOLA | 作成日時:2019年5月30日 21時