040:シチュエーション、なんて ページ40
_
.
.
.
.
.
「ふぅ……」
Aちゃんの緊張が
伝わる、微かな吐息
こっちへ向かせたのは俺なのに
掴んだ手は、少し汗ばむ
ふと目があうと
また体温が少し上がる気がして
山田「……ゆっくりで、いいからね」
Aちゃんは
俯きながらも小さく頷いた
.
.
.
.
.
.
.
.
「この前の告白、すごく嬉しかった……」
山田「……うん」
Aちゃんが合わせてくれる目線に
重ねるように目を合わせた俺は
ひとつひとつの言葉に
ゆっくり相槌をとる
.
.
.
.
.
.
「嬉しかったんだけど、やっぱり……まだ自分の気持ちに頭がついていかないの……」
山田「……ん、」
少しだけAちゃんと繋ぐ手を強める
俺の悪あがき
一生懸命、言葉を選ぶ
Aちゃんの瞳は
今にも雫が落ちそうだった
「それでね……、」
.
.
.
.
.
.
.
山田「……ごめん、Aちゃん」
「……?」
山田「その前に、俺の話……聞いてほしい」
きっと、このまま
Aちゃんの言葉を
聞いてしまったら
俺の気持ちを
もう一度伝える勇気なんて
粉々になってしまう
山田「俺の話、聞いた後に……続き教えてほしい」
.
.
.
.
.
.
.
こんなにカッコ悪くて
こんなにダサくて
こんなに不器用な気持ちは
Aちゃんに伝えないまま
捨てることなんて出来なくて
「……ん、わかった」
.
.
.
.
.
.
.
優しく笑う
君に想いを伝えるには
完璧なシチュエーションも
綺麗なイルミネーションも
必要ない
もう一度
Aちゃんと目線を合わせた俺は
ゆっくり確かめるように
言葉を並べ始めた
_
278人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
▼SOLA(プロフ) - 有岡担さん» コメントありがとうございます。いま連載中のお話が二つあるので、そのお話が完結したら検討してみますね。 (2020年5月17日 15時) (レス) id: 52a307bcb1 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - めちゃくちゃ面白かったのでafterstory読みたいです! (2020年5月17日 2時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:▼SOLA | 作成日時:2019年5月30日 21時