004：黒いプルオーバー ページ4
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『……また連絡する』
山田『ん？あー、わかった。お疲れ』
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ダイキ「……お姉さんも家、探してんの？あ、俺ダイキ。一緒に内見しない？」
「……は？」
男にしちゃ小柄で黒目がちな
黒いプルオーバーの声が
よかれと思って付けられている仕切りを
体ごと飛び越えてきた
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伊野尾「ちょーっと、それ動かさないで」
ダイキ「いいじゃんいいじゃん！後で直すから。ね？」
伊野尾「ったく……」
黒いプルオーバーは
私のリアクションなんて
痛くも痒くもないらしく
あっという間に
ピッタリ椅子をくっつけてきた
ダイキ「そこの可愛いお姉さん、名前は？」
「……(源氏名)」
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ダイキ「じゃなくて……ほんとの名前は？」
あぁ……聞かれてたのね、電話
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ダイキ「シカトかよー、おーい」
伊野尾「あのね、一気に距離つめすぎ」
「伊野尾ちゃん、早く。内見」
ダイキ「ねぇー、シカトよくなーいよー」
……うるさいんだけど
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伊野尾「それがさぁ、営業がみんな出払ってるから、車一台しかないんだよね」
「じゃあ、内見は今度……」
ダイキ「ちょっと待って！」
「……なんですか」
ダイキ「お姉さんの名前、まだ聞いてないしー」
「失礼します……」
面倒くさそうだし、帰ろ
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伊野尾「あ、雨……」
「え……？」
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窓の外から聞こえる
お天気雨の大きな音は
いつもより
耳障りに聞こえて
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ダイキ「お姉さん……傘、持ってないでしょ」
振り返ると
わざとらしくフードを被りながら
その男は
嬉しそうに笑っていた
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005：ちょっと歩きにくいよね→←003：はいはい、なーに？
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作者名：▼SOLA | 作成日時：2019年4月3日 11時
