ナナイロ☆クリスマス

☆…… ページ19

.







☆高嗣side



「……Aっ…」



「……」

……夢か


オレに背中を向けて歩いてく
Aの肩を掴もうとして 目が覚めた






静かな部屋で
Aがいた朝を思い出す








…なかなか起きないオレに
いつかAがしてくれたんだ







オレが寝てる布団の中に入ってきて
後ろから“ぎゅっ”て抱き締めてくれて…



それがすげえ幸せで…
だから毎日Aが布団に入ってきてくれるまで
起きなくなったオレ





そんなオレにAが気付いて
文句言うんだけど…
その顔は……笑顔だった









「……仕事行かなきゃ…」



風呂に行こうとしたら

「…いてっ！」



テーブルの角に足をぶつけて

「あっ…血……Aーっ！バンソ…っ」





……いねぇじゃん








結局探せなくて
そうこうしてるうちに血は止まった




.





仕事してる間も何度もスマホを確認するオレに


「ニカ〜……なんかあった？」

最年長の小さい人が聞いてくるけど…
答える元気もない…




.







気付くと12月も半ばになってた





街には眩しいくらいのイルミネーション






今年のクリスマス…

どうすんだろ…






まさか…

このまま帰ってこないなんてことないよな…？


「…A……」

愛しい人の名前は
街に流れるクリスマスソングに消えていった






.





家に帰ってお湯を沸かす

1人でカップラーメンを食べながら
部屋を見渡した









Aが出てったままの
洗って裏返ってる食器




キレイに並んだ二つの枕







そしてどんどん溜まってくゴミと洗濯物



「あ……バスタオル…
もう洗わなきゃねぇじゃん…」







全部……全部…

Aがやってくれていたことに気付く…








A…

オレ…甘えてた

Aにずっと甘えてたわ…








一緒に暮らしてくうちに安心しきって…

Aが隣に居ることにも
Aがしてくれることにも…






それなのにAはずっと…

文句も言わずにやってくれてて…







「……オレ…バカじゃねぇの…」







1人になって初めて
……愛の意味を知った





A…

オレ Aがいないと全然笑えない

あんなに好きだったお笑い番組でさえも
……一瞬も笑えないんだよ…



Aがいない時間が
オレにはまるで永遠みたいに長くて苦しい






部屋に飾ってある2人の写真を手に取った



「Aっ…」

愛しい顔が……涙でぼやけてく…




高嗣＞
A……会いたい






.

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