ナナイロ☆クリスマス

☆…… ページ15

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☆裕太side





満月の日
Aはスウェーデンへ行ってしまった







それから数日して届いた
Aからの贈り物






箱を開けると
いつかAが読んでた小説が入ってた





「…新品じゃん」




じゃあ…Aも同じ本
今も持ってるってことだよな…






もう一度箱を見ると

「……！」

底に1通の封筒が入ってた




中には…

「……！ 月…」




たぶんAが撮った
スウェーデンから見た月の写真が１枚入ってた





ベランダから空を見上げる


「…同じ月……見てんだよな…」







.




お互い 連絡はそれっきりしなかった






声を聞いたら
すぐにでも会いたくなっちゃうから…







頑張ってるAの邪魔はしたくない








.






あれからずっと持ち歩いてる本を
仕事の合間に今日も開く






会えなくても不思議と
この本がオレ達を繋いでくれてる気がして


…心があったかくなる







Aの顔を思い浮かべながら読んでると





「玉〜 何読んでるの？」




「……うるせーな…あっち行けよ」





ニヤニヤしてる宮田を追い払って
また本を開いた







小説は 運命のいたずらで離された2人が
キセキ的な再会をするという
ハッピーエンドの話だった



A…

Aもこの本……また読んでるかな？




.






──数週間後──





仕事が忙しくてただ寝るだけの家に帰ると
ふと開けた窓から
Aと出逢った頃と同じ匂いの風が吹き抜けた






A…

今どうしてる？






オレのこと…

たまには思い出してくれてる？







オレは…

いつもAのことを考えてるよ





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──12月──





イルミネーションが輝く街に車を停めて
買い物をしようと道を横切った瞬間



「……！」


こんな季節に
香るはずのない匂いを感じて振り返ると









「『……！』」









…やっぱりオレは
ワンコなのかも





こんなにたくさんの人の中からでも
見つけられたよ…？





ねぇ A…

だからまた…いっぱい褒めて？


今度はどんなに
髪の毛ぐちゃぐちゃにしてもいいから









そしたら今度は

Aが大好きって言ってくれたこの手で
Aを抱き締めてあげる…









Aが “苦しいよっ” て文句言うくらい

いっぱいいっぱい…抱き締めさせて？









Aはオレのたった1人の


愛しい人だから…









Only One...☆

Fin…☆




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