無償 (ページ5)

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真紅の女王ページ5

アタシが先生になってから数ヶ月が経過した。

毎時間とまではいかないが、保健室の利用者は思っていた以上に多かった。おかげで学んで実践をすることが出来て身になっている。

そんなある日、近々テストが行われるようで放課後に部活動で怪我をする生徒の訪問が無くなっていた。

本日、最後の授業が終わることを合図するチャイムが鳴り響いた。今日の放課後も訪問がないだろうと思い、アタシは植物園に向かうために保健室をあとにした。

そして、植物園に向かう途中…赤い髪が特徴の小さな生徒が倒れていた。

『あら？確かあの子は…』

彼の名前はリドル・ローズハート。彼は今年入学した1年生。けれど入学早々、彼の所属しているハーツラビュル寮の寮長の座に着いたっていう優秀な魔法士の卵。

『っと、ぼーっとしてられないわ。』

アタシはたおれている彼を横抱きにしてダッシュで保健室に戻った。

『よいしょ…っと』

保健室に戻って、彼をベッドに寝かせた。特に熱もないけど、目の下のクマが酷かった。

倒れたのも睡眠不足が原因と判断した。

アタシは、睡眠不足なら…と、彼のまぶたにそっと魔法のキスをした。

アタシは、リドルちゃんたちと違って魔法を使うときにマジカルペンを使わない。その代わりに症状に合わせて、特定の場所ををキスすることによって魔法が発動する。例えば、睡眠不足はまぶたに魔法を込めたキスをすることによって解消される。

ちなみにアタシは、癒し以外の魔法は使えない。

『全く…こんなに頑張らなくても優秀なはずなのに、今以上に頑張ってどうするつもりなのかしら。』

アタシは寝ている彼にそうつぶやいた。