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『真面目にやったところでなんにもならない…。キングスカラー君にもそんな経験があるんですね』
「あ？あぁ、まあな。お前もか？」
彼は寝転がったまま、頭の下に手を枕を作って長い足を組み、景色を眺めながらこたえてくれた。
『はい、あります。懸命に頑張っていたはずなのに思いがけない形で裏切られました。』
「そうか。」
彼はそうひとこと、つぶやいた。そのあと二人で景色を眺めていた。植物園の中だけ時が止まったのかと言うくらい静かで心地よい時間だった。
「俺は、第二王子として生まれた。」
そんなとき、キングスカラー君は独り言を呟く声量で話しはじめた。
「生まれたときからずっと、俺の頭の上にはどけられない岩が置かれている。どれだけ勉強しようが、どれだけ魔法が使えるようになろうが、誰にも認められず王にもなれない。…ほんの数年、遅れて生まれただけなのにな…。」
「人生は不公平だよなぁ…」
まるで何もかも諦めたように彼は語った。
『…本当に誰も認めてくれないのか？』
「どういう意味だ？」
『キングスカラー君には、俺と違って迎えに来てくれる彼が居るだろう？俺は1回しか彼に会ったことないけど、キングスカラー君の近くにいた見知らぬ俺を警戒していたよ。』
俺はNRCに来てからの一番最初の記憶を思い出した。
「…」
『獣は自分が認めた存在にだけ従う。…賢い君ならもう分かっただろう？』
「……あぁ、俺は賢いからな」
ニヤリと自信たっぷりに笑った彼は少しだけスッキリした表情をしていた。
『けれど、俺がいくら言ったとて君のサボり癖は変わらないだろう。ここでゆっくり休んでいくといい。』
と言って、俺はその場から立ち上がろうとした。しかし、それは伸びてきた腕に阻止されてしまった。そして、あの日のように後ろから抱き寄せられて''抱き枕状態''になった。
『キングスカラー君、これはどういう「レオナだ」』
「キングスカラーは嫌なことを思い出す。だから俺のことはレオナと呼べ。」
『ワカリマシタ、レオナサマ』
「…寝るから大人しくしてろよ」
『全く…』
俺はその授業時間の間だけ抱き枕になった。次の授業では飛行術の授業がどこかの学年で入っているため、保健室待機をしなくてはならない。
次の授業の予鈴が鳴ったとき、レオナに自分が着ていた白衣をかけて俺は植物園を後にした。
睡眠不足が治るようにと、魔法のキスをまぶたに落として。
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作者名：とある居酒屋の店主 | 作成日時：2020年5月1日 18時
