【忍たま】魔界之小路先生が通販で失敗したことから始まるお話 ③ (ページ36)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:6,493 hit

・ページ36

「でも何か意外だな。」

「何がです？」

「いやさっきA、アセビのこと『そんなもの』って言ってただろ。」

霜鬼に言われて、Aは自分の発言を思い出した。あまり意識していなかったが、そういえばそのようなことを言った気もする。

「一族そのものというか、能力に対して言ったような気がするんですけど…」

「そうだっけ？でもアセビに生まれた以上、そいつら皆能力を誇りに思っているもんだと思ってたからな。」

「へぇ、薄情な奴だなって思ったんですか。」

「そうじゃねぇ…ってこの類のツッコミ何回目だよ。」

一連の会話から分かるように、Aは時々こういう冗談を言う時がある。一緒にいる機会の多いドクタケ忍者はもうその扱いにも慣れ、それなりの返答ができるようになっていた。

「皆、と言われましても…私が例外という可能性は十分考えられると思いますよ。」

「それもそうか。」

Aの周りにいる人は、A以外のアセビ族をよくわかっていないのだろう。魔界之先生はよく話をしたり本を貸したりしていたから、彼はある程度把握しているだろうけど。だから、自分をアセビ族の代表だとは思わないで欲しいというのが正直な所である。

「誇りというか、執着だと思います。」

「執着？」

「まぁ、能力のない私が言っても説得力無いと思いますけど。」

Aはここ数年は一族の元を離れている。外から一族の様子を伺うことが圧倒的に多くなり、あの頃より冷静にアセビ族を考えるようになっていた。

そう考えた時に、全員が能力を身につけるために学ぶということがもう何百年も続いているというのは、ちょっと異常だよなぁと思うようになった。

「よく分かんねぇけど難しいんだな。それってA達にとってはいいことなのか？」

「それは分かりませんよ。それに私の考えは例外かもしれませんし。」

「あぁ、そうだっけな。」

苦笑する霜鬼を横目に、Aは水をぐいっと飲みこんだ。
「これ、井戸で洗ってきますよ。」と言って2人分の竹筒を持ったAはその場を去った。

「執着、ねぇ…」

『先生、さすがです。』

『やっぱり、先生は本当に尊敬できるお方です。』

『私、先生の元で勉強出来て本当に嬉しい限りです。』

『私は正直、魔界之先生と一緒にいることさえ出来ればそれで＿＿＿＿』

「Aも人のこと言えない気がするけどなぁ。」