Snow cover (ページ45)

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拍子抜けするほどあっさりおんぶを受け入れたふっかを背に、家まで辿り着いた。彼らしい簡素な部屋のベッドにそっと下ろしたものの、帰るタイミングを逃してしまった。最低限、水と食べ物はいるだろう。

「何なら食べれそう？」
「いらない」

ピシャリとはねつけられ、それに怯んだ隙に追い打ちが来た。

「帰って」
「いや１人にするとか心配」
「明日病院も行くし、だから…！」

ベッドからの悲痛な声で思い出した。俺がトラウマの象徴だ。顔も見たくないに決まってる。
緊急時は連絡するように言ってから、動けないふっかから合鍵を借りて鍵を閉めた。

その夜は、合鍵を片手に強めのアルコールの力で寝落ちた。

次の日は案の定悪酔いして、それが彼と会えなかった１か月間続いているような感覚。

臨時で雇ってもらったジムでのことも、なにもかもの記憶が曖昧。
ずっと時計の針は止まったまま。

動かしたのは、１つのメッセージ。

亮平色々あって入院になっちゃった。お見舞い来てくれない?

は？と頭に疑問符が山ほど浮かんだが、問答無用で日程も送ってきたので行くしかない。
暇っちゃ暇だったし。

これが罠だったというか、亮平の策に２人してハマった。

何かを言いかけた亮平の病室を出ると、

「な、んでふっかがここに」
「昔の知り合い」

そういうことか、と呟くのは紛れもなく会いたかった人。

「こうなったら全部話せってことだろーなぁ」
「全部、とは」
「俺と阿部ちゃんとの接点とか、知りたくない？」

そういうの、話さないタイプじゃん。
というか、なぜ俺の身の周りにはこうも秘密主義の奴が多いのか。

当然頷き、いとも簡単にまた家に上がることとなった。