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何系を買うかさえ決めずにコンビニに着いてしまった。
そういえば朝ちっさめのパン1個食べただけやった気がする。
久々にたこ焼きでも、いや、あるんかな?
最悪冷凍でも、チンしたらいつでもつまめるから、たこ焼きに決定。
保冷剤も断ったし、あの3人じゃ色々不安やからはよ帰らんと。
「あ、康二やん」
たこ焼きのこと考えてたからか、聞いたことある声が後ろからしたような。
やみくもに頼み事を引き受けて潰れた学生時代に、散々こき使ってくれた先輩っぽい声が。
無視したいのに、刷り込みで嫌でも振り向いてしまう。
「お久しぶりです」
「元気そうやな。せっかく会えたんやし、どっか飯行かん?」
「今は溶けるもん買ったんで…」
「あ、夜の方が良いんや」
ニヤリと笑われた。そもそも行く気ないのに時間帯気にせんわ。
“安心安全”のβの宿命っちゃ宿命。
心の中で「誰が行くか」と言いながらしっかり今日の夜に行く約束してまう自分が嫌になる。
さっさと忘れたらいいのに、まだ気を遣ってしまうのはお人好しとかで片づけられへん、俺の良くないところ。
店に帰ってからは、俺とふっかさんは揃ってうわの空。
いつの間にか閉店時間は来ていて、痺れを切らしたようなめめが事情聴取に来た。
ここで俺は狡い手を思いついてしまった。
「康二く「配達の時、大阪におった頃の友達に会ったからめめに紹介しようと思ってんねんけど、今日の夜空いてる?」
一息で言った。心臓はバックバク。
用心棒として連れて行ったろとか、我ながら最低な発想。
勢いに押された形のめめを連れて向かうのは、当然ながらホテルで。
ロビーにはあの先輩がいて。
こういうときだけ物凄く察しが良いめめが何も気付かないように、何かに気付いてどうにかしてくれるように、願った。
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作者名:べす | 作成日時:2021年3月31日 16時