Snow cover (ページ14)

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＊ページ14

「信じてくんねーかもしれないけど、俺まだあそこで何もしてないから」

しばしの逡巡の後、誤解を解くことから入ることにしたらしい。

「信じるよ」

真っ直ぐに目を見て言うと、呆れたように笑う。

「そうだ、今喋ってんの涼太だった」

それはちょっと失礼じゃない？

と思ったけれど、翔太はこんな子だったな。

少しずつ距離感をお互いに思い出してきて、予想より早く本題が飛び出す。

「ヒートって割と気持ちのもんらしくて、Ωですって言われてから始まったの。それがめちゃくちゃ他の人より重いらしい。で、気抜いて買い物行ってぶっ倒れたらあそこにいた」

「何かされたっていう可能性はあるよね」

当然出てくる可能性だ。

当の本人はあっさり否定したが。

「それはない。吐きまくったし常に息ヤバいし、ほぼ死にかけだったから申し訳程度にゼリーと水持ってくる以外は誰も近寄ってこなかった」

「待って。色々ツッコみたい」

「涼太が来なかったらヤバかった」

「うん」

「から、ここに住みたい」

「急展開すぎる」

あの涼太が思考停止してる、と散々爆笑された後、先の発言の補足が入った。

攫われた後の話に一切の誇張はなく、毎回そのような症状に襲われること。

流石に参ってヒートの時期だけ手伝いの人に来てもらったが、βの人まで影響するほどフェロモンが強く、それは断念。

その上、縁を切ってからもなんとなくストーキングされているような気がすること。

切羽詰まった矢先の外出で倒れたこと。

受け入れる理由しかない話で、これまた早めの同棲が決まった。

何の抵抗もなく頼ってきた翔太。

頼った先の男はすっごく重たい愛情を抱えているけれど、寄りかかってきたのはそっちだから。