なぐさみ さん ページ3
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彼は、私を抱き寄せて微笑んだ。
そうして口を開く。
「君、名前は何と言うんだ?」
ギラギラとした大きな瞳に見つめられて少し戸惑った。
名前が無いということに、すこし、悲しくなった。
だから、今までの呼ばれ方でいいかしら、と瞳を上げる。
彼の瞳の中に自分が写りこみ、ちゃんと私をみてくれているんだ、と落ち着きながらも、まだ少し戸惑ってしまった。
「えっと、愚図、役立たず、ノロマ、間抜け…」
そう、答えた。
それしか、なかった、そう呼ばれ続けて、拒否権もなかったから。
彼は困ったように唸っていたと思ったら閃いたように笑って肩を掴む。
「では、Aという名はどうだ?可愛らしいだろう?」
そう、笑うと自分は煉獄杏寿郎という名前だと教えてくれた。
高鳴る騒がしい胸。
ひとつの布越しの彼が愛しかった。
そのときから、きっと、私はもう、慰みものになってもいいと思ったのかもしれない。
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いぬお(プロフ) - 伏見さん» 読んでくださりうれしいかぎりです。ボロ泣きしてくださって…照れくさいです。コメントしてくださりありがとうございます。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
伏見 - 素敵な小説をありがとうございました。夢小説は切ないのもたくさん読んできましたが初めてボロ泣きしました。終わりかたがとても素敵だなと思いました! (2019年10月5日 13時) (レス) id: 72fbc12c8f (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - 奈南さん» 泣いたなんて…読んでくださりうれしいかぎりです。コメントしてくださりありがとうございます。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
奈南(プロフ) - 凄いです凄かったです。久しぶりに泣いてしまいました。素敵な小説をありがとうございました。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 2ded25a891 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - アルっさんさん» 読んでくださりうれしいかぎりです。はい、書こうと思っています、私に文才があればですけど…。コメントしてくださりありがとうございます。 (2019年10月4日 21時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いぬお | 作成日時:2019年9月29日 13時