なぐさみ じゅういち ページ11
●
あれから貴方の対応は変わらなかった。
今までと全く変わらなかった。
あの事がないみたいだった。
それをしらない千寿郎君と槇寿郎様もいつもと変わらなかった。
ただ、違ったのは。
・
・
・
「あ、、、ケホッ」
私が血を吐いたことだった。
私は秘密でお医者に聞いた。
それから、「ひめごと」ができてしまった。
私は、私は…
「バリバリ音が聞こえているぞ。」
手にたくさんの汗をかいた、着物を握る。
「浸潤かしら。」
「違う」
「気管支カタルでは？」
「違う、違う。」
私は涙ぐんだ。
医者は申し訳なさげに目を伏せた。
あぁ、そうよ、わかっていたくせに、私は。
テーベ、結核、それだと思いたくなかった。
浸潤だったら、気管支カタルだったら肺炎だったら、私だけで、秘密に治した。
なのに、結核だったら、もう、もう、駄目かもしれない。
私は、もう、足元が崩れてゆくような思いで帰った。
気付けばもう、屋敷の前だった。
千寿郎君が気づいて駆け寄る。
その時。
喉の奥から何かが込み上げてきて、私は井戸端に駆けた。
「っ、げほっ、ごほっ、ぉえっ」
吐いた血がぽとぽとと桶の水に溜まって、落ちて、浮いて。
あぁ、もう、手のつけようが無いのね。
そう感じた。
私は、最後まで、貴方を見ていたかったけれど、駄目なのだわ。
そう、なんだわ。
大丈夫、大丈夫だとそう決めていたのに。
晩ごはんのお味噌汁の味見をしていたらぽろぽろと涙が出た。
ただ、寂しかった。
なんだ、私、こんなつまらない死に方をするのね。
手で口を押さえて肩を震わせる。
手には血が付いていて。
これが、恋の終着点だと、そう感じた。
すると千寿郎君が飛び込んで来て、手を洗って。
堪らなくなってわっと泣いてしまった。
千寿郎君は、気づいていた。
私が、結核ということに。
どうして、こうなったのかしら。
そしたら槇寿郎様が入って来て、私を見て泣き始めた。
劣等感に、彼は殺されたのか、そのように泣き始めた。
あぁ、杏寿郎様、貴方の顔は見たくなかったのに。
こうも、嘘をついてしまう。
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いぬお(プロフ) - 伏見さん» 読んでくださりうれしいかぎりです。ボロ泣きしてくださって…照れくさいです。コメントしてくださりありがとうございます。 (2019年10月5日 13時) (
レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
伏見 - 素敵な小説をありがとうございました。夢小説は切ないのもたくさん読んできましたが初めてボロ泣きしました。終わりかたがとても素敵だなと思いました！ (2019年10月5日 13時) (レス) id: 72fbc12c8f (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - 奈南さん» 泣いたなんて…読んでくださりうれしいかぎりです。コメントしてくださりありがとうございます。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
奈南(プロフ) - 凄いです凄かったです。久しぶりに泣いてしまいました。素敵な小説をありがとうございました。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 2ded25a891 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - アルっさんさん» 読んでくださりうれしいかぎりです。はい、書こうと思っています、私に文才があればですけど…。コメントしてくださりありがとうございます。 (2019年10月4日 21時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いぬお | 作成日時：2019年9月29日 13時
