10 ページ10
「怖いよ…」
小声でそう呟くが、目の前の屈強な新米兵士たちのザワめきを前に、そんな言葉は溶けてしまった。
「アイツ小さいな」
「もしかしなくても女？」
「色目使ったんじゃないか？」
「そうまでして入隊する意味もないだろ…」
上官が来ていない今、校長先生の話を聞く時宜しく整列しているわけだが、視線が360度から飛んでくる。好奇心困惑懐疑心嫌悪
もっと暢気に行けるものだと思っていたが、女性の存在への反発が大きくて新兵達だけでなく、私も困惑している。
「静粛に。」
トントンさんの声
そして静かになった空間の中、ツカツカと靴音を鳴らして総統が前に立つ。少し遠めから見る彼もやはり輝いていて、カリスマ性を肌で感じる。
すごい、
単純に、彼の小難しい話を聞きながらそう思った。
強くこぶしを握り締め、姿勢を正す。その瞬間目が合った気がしたが、たぶん気のせいだろう。
ここから私はただの兵だ。
「オイ、女、ここの片づけ頼んだ。」
「お前の掃除も頼んだらどうだ？」
「選ぶ権利ぐらい俺にもあるだろうがよぉ！」
新兵の仕事は主に体力づくりと雑用
さっきまで怖かった同僚たちはグループに分かれ、私含め5人に分散されたので解決したが、問題は先輩方だった。
セクハラがすごい。
あまりのすごさに同じグループになった同僚たちが憐みの目をたまに向けてくる。
しかもこの一年はこの方たちからご指導賜るらしい。
とりあえず一週間、されど一週間、着実に先輩たちの態度は私の心労の種になっていた。
男尊女卑、元居た世界ではそこまで感じなかった差別をモロに受ける。
特に、煌びやかな世界ではなく軍に入った"女を捨てた女"の扱いなんて正直人間以下
先輩の噂を聞いてか、同僚の一部の人間からも同じような扱いを受け始めた。
ついた蔑称は「女」
男でも女でもなく、ほぼ虫だ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 814人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Aya(プロフ) - ボマー！？お前性格イケメンかよ！？多分任務失敗したら消されるからの自爆だろ!!!任務より自分の気に入った相手優先とかヤバい(途中までしか見てない人の勝手な感想) (2021年6月8日 3時) (
レス) id: b462e5db2b (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - ROM専さん» 勢いの良さに笑っちゃいました…！ありがとうございます（？） (2019年9月26日 7時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
ROM専(プロフ) - mnちゃああああああああああ (2019年9月25日 20時) (レス) id: 19a3a955e7 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - にーたさん» 周りに説明する時は丁寧だけど胸中ではズバッと決まってそうなのでこういう表現にしました！色々考えた結果の文字数なので刺さったなら嬉しいです！コメありがとうございました！ (2019年9月22日 10時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
にーた(プロフ) - 46の一文に痺れました。語らないでズバッと切るところが最高にカッコいいです。 (2019年9月21日 23時) (レス) id: 8f97026b0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燕
| 作成日時：2019年8月23日 19時
