＊3＊ ページ30
あのとき智くんが来てくれなかったら、
私はずっと、自分を認められなかった。
智くんがどれだけ想ってくれてるか言葉にしてくれたから。
『私なんか』って卑屈になってた自分に気付かせてくれたから。
前を向こうって思えたんだ。
「智くんと話して、大丈夫って・・思えたの」
「・・・よかった、あんとき行って」
「疲れてたのにごめんなさい。・・来てくれて、ありがとう」
「・・・俺が会いたかっただけ、ね」
そうやって、自分がやりたかったからだよって。
なにも気にしないでいいんだよって。
負担にならない優しさを、智くんはいつもくれる。
「・・・智くんを、好きになれてよかった、です。
たぶん、この先になにがあっても。・・・・それだけはずっと変わらないから」
「・・・・・」
「あの、・・・出来たら。その・・・そばにいさせて、ください」
心臓がドキドキ音を立てる。
じっと見つめたあと、ふっと視線を逸らされた。
・・・ダメ、かな。
ぐちゃぐちゃ考えちゃうのに、呆れたかな。
たぶん30秒もしなかっただろうけど、すごく長く感じた。
ふーって息を吐き出した智くんに、俯いていた顔を上げる。
・・・私、いつの間にか下を向いてたんだ。
だから、すぐそばに来てた智くんに気付かなかった。
その表情が分からなかった。
すごく優しい顔をしてるって。
「それはこっちだよ。・・ずっと、さ。俺のそばにいて？」
思わず息をのむ。
その瞳にも、言葉にも。
「・・この先、何もないとは言えない。けど、もう離してあげらんないや」
ほら、諦め悪いからさ、ってちょっと笑った。ように聞こえた。
だってもう、顔は見えないから。
どうしようもなくうれしいと、涙って出るんだって。
動かない頭で思ったのはそんなことで。
うれしくて。・・信じられないくらいうれしくて。
状況がまだ整理しきれない。
それでも。
「いい？」
優しい瞳に覗き込まれたら、胸がじんわり温かくなって。
「うん・・・はい」
頷いたら、雫が零れ落ちた。
そっと触れた指先に拭われて、温かいなって思った。
「んふふっ、よろしくね」
頭をポンポンと撫でられて、その手が後ろに回ったら、
「・・・っ！？」
前髪越しにおでこに唇が触れる。
「ずっと、こうしたかった」
そっと引き寄せられて、温かい腕に包まれた。
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ミホ(プロフ) - あみさん» あみさん、コメントとっってもうれしいです♪ありがとうございます！まだまだ未熟であれこれ迷いながらなのでさくさく行かずすみません。少しでも楽しんで頂けているならうれしいです♪更新がんばります！ (2019年4月5日 1時) (
レス) id: 8ef5e9dce6 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - いきなりコメント失礼します！このシリーズを最初から読んでずーっと楽しんでました！これからも読みます！更新頑張って下さい！！楽しみにしてます。 (2019年4月4日 22時) (レス) id: 595a819d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ki-bou | 作成日時：2019年3月31日 2時
