＊2＊ ページ47
製品開発はちゃくちゃくと進む。
試食、検討を重ね、いくつか候補をあげて。
細かい調整はまだあるけれど、おおよそ決まりそう。
食味や成分分析も参考にしてレシピを修正し、
アピールポイントも明確に分かりやすく練り直して。
数日後にはＭ社とうちの上層部役員との会議にかけることになっている。
ＯＫがもらえれば、ようやく次の段階へと進める。
長かった・・けど、早かった。
「で、加藤さんとは話せたの？」
「うわっ！・・・と、由紀さん」
びっくりしたぁ。
背後から急に声かけないでくださいよ。
「それがまだ、なんです」
「えっ、もうひと月以上でしょ？」
「そうなんですけど・・・なかなかお会いする機会がないというか」
「あー・・・連絡先知らないもんね」
深く頷く。
同じ会社でも部署が違うと、本当に会わない。
今までは加藤さんがマメに社食を利用してたから、どうにか会えてたんだなぁ。
「避けられてるんでしょうか？」
「んー、忙しいだけじゃないの？」
「・・・ですよね」
加藤さんと一緒に来ていた人たちも見かけない。
ということは、お昼もゆっくり食べる時間がないということ。
「新しいルート開拓で走り回ってるらしいわよ」
「そうなんですか？由紀さん、詳しいですね」
「まぁ、いろいろとね(笑)」
由紀さんの情報網・・・恐るべし。
「そのうち落ち着くから、待ってみたら」
それしかないよね(笑)
加藤さんのことが気になりつつも、会議の日はやってくる。
この日の為に開発チームで準備は万端にしてきた、はず。
大丈夫。
今まで会議はおろか、ミーティングも部署内でしかしたことのない私には、
大きな会議室にいるだけで足がすくみそう。
「Ｍ社とうちの担当がプレゼンするんだし、そんな緊張しないの」
部長が私を見てニヤリと笑う。
「はい・・・分かってはいるんですけど」
ここにずらりと並ぶ方々を想像したら・・・
「ここにいる楠本さんが全てでしょ。がんばってきたんだから大丈夫だよ」
ね？って優しく笑う。
その笑顔がちょっとだけ智くんと重なって。
言葉がストンと胸に落ちて、スーッと緊張が解けた。
部長が言うと、本当にそう思えるから不思議。
「さ、いよいよだね」
「はいっ」
「楠本さん、がんばりましょうね」
「一緒に乗り越えましょう」
開発チームのメンバーと顔を合わて頷く。
会議が始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミホ(プロフ) - 美唯さん» 美唯さんありがとうございます♪またお待ちしてますね。 (2018年3月21日 17時) (
レス) id: e6b7e30dbe (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - また続き楽しみにしてます (2018年3月7日 1時) (レス) id: 9da5bd590f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ki-bou | 作成日時：2017年1月7日 1時
