＊6＊ ページ19
「仕事して、でしょ？休みの日も休めないね」
「んーまぁ、そうですね。
でも働きやすい職場だし、大丈夫ですよ」
「Aちゃんってどんな仕事してるの？」
「えーと、・・・栄養士、です。
・・今は会社員の方たち向けのメニューを考えたり、健診の相談とかしてます」
「おぉ、すげーねっ。
どうりでさっきの弁当もうまいわけだ」
これは栄養士って言うと8割方される反応。
だからいつも職業を言うのにちょっと躊躇してしまう。
「いえ、そんなことは・・、仕事だから出来るんです」
「そーなの？」
「・・本当は料理は苦手で。それに、ご飯作ってるのは調理師の方たちなので(笑)」
ちょっとだけ目を見開いた智くん。
でもすぐにふふって笑うと、じっと目を見つめられる。
「んでもさ、苦手でも、がんばったからなれんでしょ？やっぱりすごいよ」
そんなこと初めて言われた・・・。
子どもたちを養っていくために、苦手だけどやるしかなくて復帰したお仕事。
それをそんな風に肯定してくれる。
智くんの優しさに、心がふわっと癒された。
社食の話からなぜか学校の給食の話になって。
あげパンが好きでさー、なんて楽しそうに話す智くんに、私もいつの間にか緊張が解けていた。
「さっきさぁ、もしかしてだけど旦那さんのこと考えてた？」
「えっ・・・」
楽しくおしゃべり出来るようになってホッとしてたところに、思わぬ爆撃。
「何か悲しそうだったから」
智くんがさっきと同じような心配そうな瞳で覗き込む。
「あ・・・と、そのー」
・・さすがにごまかしきれないかなぁ。
その瞳から視線を外して、砂場で遊ぶ子どもたちを見る。
智くんも同じように顔を向けた。
「あんな風にみんなでご飯、食べたことなかったから。
何だか子どもたちに申し訳なくて・・・」
「そっかぁ」
心地良い高さの静かな声で、心がふんわりする。
話してもいいかな？
今日だけ、言ってもいいかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミホ(プロフ) - 美唯さん» 美唯さんありがとうございます♪またお待ちしてますね。 (2018年3月21日 17時) (
レス) id: e6b7e30dbe (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - また続き楽しみにしてます (2018年3月7日 1時) (レス) id: 9da5bd590f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ki-bou | 作成日時：2017年1月7日 1時
