33日目 ページ34
あぁ、何から話そう。
なにから伝えよう。
どうしたら、Aの心に触れられるんだろう。
どんな言葉を選べば、Aは本音を僕に話しても大丈夫って安心してくれるんだろう。
シャワーの粒に打たれながらぐるぐると思考だけが進んでいく。
「はあぁ…っ」
まずは、僕が振ったくせに、未練がましくまだAのことが好きなこと。
次に、Aがどうしたら安心して本音を話してくれるのか…
いや、それはきっと僕が考えることだ。
あの子は本当の気持ちを話すのが苦手な子だ。それを理解して受け入れられなかった僕が悪い。
あとは…あとは、もう一度、僕とやり直してくれませんかって。
僕のわがままで、僕の都合で振り回してごめんなさいって。
まだ、Aと一緒に居させてくださいって。そう伝えなきゃ。
いやいやいや一緒には居られるんだ。
Aは引っ越しのお金ないからって出ていく素振りはないし。
いやでもそうじゃなくて、そうゆう一緒にいるじゃなくて。
「ああぁもう、日本語ってむずかし…」
普段辞書のような歌詞を書いているのに、僕自身のAへの気持ちを
うまく正確に言葉にすることができない。
「〜〜〜〜っ、よし、行こう」
ぱんっ、と両頬を叩いて鏡に映る自分を見る。
「あは、情けない顔」
今にも泣きそうな顔はすぐに、湯気で曇って見えなくなった。
シャワーを止める。
焦るな。
心を落ち着けるように意識してゆっくり動いた。
体を拭いて、頭にタオルをかぶせて、ガシガシと水滴をぬぐう。
ゆっくり、ゆっくり。
この間にもずっと脳内シミュレーションが繰り広げられ
僕が振られる結末や、二人で泣いて抱き合って「改めて宜しくね」って言いあえるシチュエーションがぐるぐると妄想される。
だめだ、また泣きそう。
まだ泣くな。
全て終わってから二人で泣くんだ。
涙を吹き飛ばすようにドライヤーに手をかけた。
ドアの向こう側で冷蔵庫の開く音がする。
もう少し、待ってて。
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宵闇 ルア(プロフ) - もう一回見てみたんですけど、最後のかつて彼氏だった彼の声のところの後に出てきた人はまふくんじゃないかなって思ってます (2023年1月8日 22時) (
レス) @page41 id: d7473b096e (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - 見つけてくださって、ここまで見守ってくださって、本当にありがとうございました！思い出した頃にまた振り返っていただけたら嬉しいです！ (2022年12月6日 23時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
Ruriyuri - 私いろいろな界隈の小説を読んでいるのですが、とても久しぶりに心に来る小説を見付けました。本当に珍しいことでこのような小説に出会えてとても嬉しいです。とても感動しました。 (2022年12月5日 21時) (レス) @page41 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - おみさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！泣かせるぞ〜！と思って書いてたので、本望です笑ありがとうございました！ (2022年12月1日 1時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
おみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごい泣きながら読みました (2022年11月30日 22時) (レス) @page41 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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