22日目 ページ23
『ひっ、あ゛ぁぁ、っ…ぅぁ……！』
あぁ、また泣いてる。
お風呂場から漏れる嗚咽を聞くのはもう何度目だろうか。
Aはいつも僕の前で素直に泣いてくれないね。
「A〜？入るよ」
浴槽に入っているのは曇りガラスから見えていた。
今更お互いの裸くらいで赤くなったりなんかしない僕らは、いつも当たり前のようにお互いのお風呂に乱入している。
今日はちょっと。事情が違うけれど。
『…』
「もう、どうしたの？何か嫌なことあった？」
『…』
黙って、首を横に振った。
泣いていても僕が来るといつも泣いてないふりをするのはどうして？
「僕、またなにかした？」
『…してない。なんもない。』
濡れた髪を撫でて目線を合わせても、君は不貞腐れたように目をそらす。
「こっち向いて」
『やだ』
「いいから」
『いや』
「向けって」
顎をつかんで無理やりに目を合わせた。
また君の瞳から、大粒の涙が静かに流れだす。
その目に吸い込まれるようにまた、触れるだけのキスをした。
「どうしていっつも強がって、何も言ってくれないの？」
『言ってもわかんないから言わないの』
「言ってくれなきゃわかんないじゃん」
『…わかんないよ』
どうしてそんなに確信したように言うの。
また、目が合った。
キスをする。
この繰り返し。
泣きすぎて詰まった鼻から、ずぴっと濁った音がする。
「ほら、上がっておいで」
『…一緒にはいろ』
「えぇ…Aもうのぼせるでしょ」
『いっしょがいい』
泣いている理由も強がって言わないで
一緒に居たいって言葉も素直に言えないなんて
ちゃんと素直に全部教えてって、ずーっと伝えてきたと思ったんだけどな。
「もう、明日にしよう？明日は一緒にお風呂入ろう。
今日は髪の毛乾かしてあげるから上がっておいで」
『…わかった』
「うん、いい子だね」
まったくもう
子供なんだか大人なんだか
『ね、ちゅーして』
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宵闇 ルア(プロフ) - もう一回見てみたんですけど、最後のかつて彼氏だった彼の声のところの後に出てきた人はまふくんじゃないかなって思ってます (2023年1月8日 22時) (
レス) @page41 id: d7473b096e (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - 見つけてくださって、ここまで見守ってくださって、本当にありがとうございました！思い出した頃にまた振り返っていただけたら嬉しいです！ (2022年12月6日 23時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
Ruriyuri - 私いろいろな界隈の小説を読んでいるのですが、とても久しぶりに心に来る小説を見付けました。本当に珍しいことでこのような小説に出会えてとても嬉しいです。とても感動しました。 (2022年12月5日 21時) (レス) @page41 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - おみさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！泣かせるぞ〜！と思って書いてたので、本望です笑ありがとうございました！ (2022年12月1日 1時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
おみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごい泣きながら読みました (2022年11月30日 22時) (レス) @page41 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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