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皇女とアクセル 3 ページ9

アクセル side

圧倒的に不利なのは商人の方だが、俺としてはユアンを助けたい。だから動けずにいた。


商人「そうだ。そのままそのおっかない武器を捨てろ! 嬢ちゃんはその化け物からさっさと降りるんだな!」


少年たちは武器を手放し、少女と一緒に俺も大きな狼の背から降り立った。


商人「最初から素直に言うことを聞けばいいんだ」

ラーズ「どっちのセリフだか……」

商人「うるせぇ! 商品のガキはこっちに来るんだ!!」

A「行ってはなりません」


少女に手を掴まれては、ユアンの処へはいけない。離してくれ、と言っても、少女は手の力を弱めない。苛立っている商人は、ユアンの首にナイフを食い込ませ、首から血が流れ出る。


商人「さっさと来い! このガキが殺されてぇのか!!」

A「あなたこそ、もっと周りに気を配るべきですわ」


何を、と商人も俺と同じことを思ったのだろう。だが、俺には理解できた。商人にとっては、何が起きたか解らなかっただろうが、そこに第三者が居たのだ。
その突然登場した第三者は、ユアンを掴んでいた商人を足払いし、地面に頭を打ち付けて気絶した。何とも呆気ない。ユアンは、その第三者に抱えられている。


カーティス「お待たせしました、皇女(プリンセス)

トール「カーティス、少し遅れたな? それで、兵は?」

カーティス「皇子(プリンス)も人使いが荒いですね。手筈通りに」

ラーズ「まぁ、これで一件落着か。で、どうするんだ、この二人」


三人の目線は俺とユアンに注がれている。抱えられているユアンは、俺に手を伸ばしていた。それに気が付いた赤髪の少年は、ユアンを下に降ろす。
ユアンの首筋の傷に気付いた少女は、ユアンの首に手の平を当てると、温かい光に包まれ傷が治っていく。


ユアン「ありがとう、お姉ちゃん」

A「どういたしまして」


ユアンと少女のやり取りにほのぼのしたが、というか、今この赤髪の少年、青銀の髪の二人の事を何て言った。確か……。


アクセル「すみません! 皇子と皇女とは知らず……!!」

ユアン「兄ちゃん?」

トール「あはははっ! 今更か! 良い、良い!! どうせ貴族の子供だとでも思っていたんだろう」

ラーズ「そうでしょうね、大人の護衛を付けない奇特な皇子ですから」

カーティス「それにしても君、さっき皇女(プリンセス)にしがみ付いていましたよね」


その赤髪の少年の目が最も怖いと思ったのは、気のせいじゃなさそうだ。

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作者名:print11 | 作成日時:2018年11月22日 9時

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