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十二騎士達の役目 19 ページ44

部屋に戻ったトールは、椅子に深く座り込んでいた。


ラーズ「で、カーティスを除く全員と話をした感想は?」

トール「……疲れた」


主に、ティアリスとサイード。
本来ならば、カーティス同様今日は留守だった。

これで、カーティスが戻って来たりすれば、更なる疲労が……。


???「今日は僕が留守の間に、面白い事をしていましたね?」


とうとう幻聴が聞こえる。
トールの顔を見ても、勘弁してくれと言わんばかりの顔で、窓から射す夕日が哀愁を漂わせる。


トール「カーティス、早かったな……」

カーティス「何やら面白い事をしていると聞きましてね? 本来なら皇女(プリンセス)所に行きたかったんですが、皇子(プリンス)の方に先に来たんです」


それで、僕とは面接をしてくれないんですか? と。


トール「カーティスには必要ないだろう?」

カーティス「酷いですね、皇子(プリンス)。僕はいつも国のために走り回っているというのに」


どの口が言うのか。
国の為と言いながら、国に忠誠心の欠片が無い事は知っている。
利害の一致で、表向きは国のためになっているに過ぎない。


カーティス「おや? 何か言いたい事でも?」


俺の僅かな反応にも気付く。
わずかな表情変化を読むのも長けている。

見方である内は、カーティスの存在は心強い。これが敵に回るとなると、情報のほつれを一つでも見せたら、一気に畳み掛けられる事だろう。


トール「カーティスは、俺との面接を望んでいる訳ではないだろう? 用件は何だ」

カーティス「その通りですよ、皇子(プリンス)。単刀直入に言います。皇女(プリンセス)を僕に下さい」


・・・・・・。


トール「は?」


トールのドスの増した声が響く。聞き間違いだろうと、もう一度聞いたが答えは同じ。
A様を下さい? フザケルナ!!


カーティス「皇子(プリンス)とラーズ殿。顔が般若の様になっていますが、何か勘違いしていません? 皇女(プリンセス)との時間を僕に下さいと言っているんですよ」


ならそう言え!! 紛らわしい!!
トールの顔を見れば、脱力感に襲われている。ただでさえ、今日は濃い一日だった。


トール「Aに了承が取れれば、勝手にしてくれ……」


もう投げやりだ。言質を取ったからか、カーティスは嬉々として部屋を出て行った。


トール「お前、Aを気に入っていたんだな」


その言葉は、聞かないフリをした。

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作者名:print11 | 作成日時:2018年11月22日 9時

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