十二騎士達の役目 13 ページ38
A「それにしても、私の執務室にこれだけ人が集まるのも珍しいです。兄様であれば別だと思いますが」
確かに。一皇女と言えど、こうして執務はなされているが、騎士の半分が部屋を訪れているというのも珍しい。同じ女性であるセレスと、兄であるトールは別だが、それ以外の男が皇女の部屋を訪れるというのは如何なものか。
トール「先も言ったように、俺はAと話に来たんだ。アクセルとウェインの件も含めてな」
A「あら、お兄様。いくら親しい方々しかいないとはいえ、気を抜き過ぎではいないですか？ 特に、胡散臭い神父様もいらっしゃいますし？」
サイード「A様。胡散臭いなど、心が痛みます」
A「誰もサイードの事だなんて言ってないけど、自覚はあったのですね」
サイード「名前は出さずとも、神父なんて名称を出せば、誰の事を指しているのかは解ります」
心が痛むと言いつつ、全く気にした素振りを見せない。
弟のエルドとは違い、兄のサイードは感情のコントロールが上手い。
兄弟と言っても二卵の双子だから、似ている要素は余りないが、好きな者への執着は似ている。
サイードは、ソル。エルドはカーティス。
セレス「では、私はそろそろ席を外させて頂きますね？」
A「あら、セレス。セレスは居ても大丈夫ですよ？」
案に、エルドとサイードは退出しなさいと言わんばかりだ。こういう所は、トールに良く似ている。
サイード「本当に連れないですね、A様。退出する変わりに、ソルを連れて行っても？」
A「駄目です」
エルド「はぁ……。此処にいても私は居心地悪いですから、さっさと退出させて頂きます」
サイード「あぁ、だったらエル、私の手伝いをして下さい。どうせ暇でしょう？」
エルド「暇じゃない。他を当たれ」
今度こそ二人は執務室から出ていく。
部屋に残っているのは、A様、セレス、トール、ウェイン、アクセルと俺の六人。
A「それで、兄様？ アクセルとウェインの件と言うと、カーティスとティアリスの事でしょうか？」
二人の名前を聞いただけで、その二人の名前が直ぐに出てくるのは、もう当たり前なのだろうか。
トール「なんだ、知っていたのか」
A「知っていた、と言うよりは、居合わせ事がありますから。ね、アクセル？」
トールの問いには苦笑いで返し、アクセルに対しては申し訳無さそうな顔をされていた。
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作者名：print11 | 作成日時：2018年11月22日 9時
