十二騎士達の役目 8 ページ33
ウェインとアクセルの緊張を余所に、トールは気さくに話しかけていた。
トール「二人とも、此処には慣れたか?」
ウェイン「はい。皆さんに良くして頂いております」
アクセル「俺も同じです」
トール「いや。二人には特に、め……」
面倒な二人の事を言う前に、トールはその言葉を飲み込んだ。
アーネストは察したのか、眉間に皺を寄せ、二人の頭にはクエッションが出ていた。
アーネスト「確かに。カーティスとティアリスに関しては、面倒な事この上ないです」
無常とはこの事か。
トールがあえて伏せようとした事を口にする。トールには人一倍忠誠を誓っているアーネストだが、主人の意図を理解しているようでしてない。
以前A様がおっしゃられていた、天然と言うものなのだろう。
アーネストが口にした二人の名前に、ウェインとアクセルの肩が揺れる。
ラーズ「二人とも、その、すまない」
ウェイン「ラーズ様! その、私達は別に……!」
アクセル「そうです! ラーズ殿が頭を下げる意味はありません!」
俺も悪かった。そんなに恐怖の対象になっていたのか……。
どう謝罪しても、謝罪したり無いような気がする。あの二大巨頭は、俺でも手に余る。
トールも上手くコントロールしているが、要求を満たすために知恵を振り絞っているのを近くで見ている。馬に当てられたくないとは言ったが、俺とトールでは分が悪いのも確かだ。
ラーズ「トール、A様とフィリア様に進言して頂けないだろうか」
アーネスト「ラーズ。いくら貴殿がトールギス様に近い存在度言えど、そのように呼ぶのは……!」
トール「アーネスト、構わない。ウェイン、アクセル。その、二人には、一番迷惑をかけている」
ウェイン「あの、トールギス様も、お気になさらず……」
あの二人に対して、何故かこちらが気まずくなる。何で、騎士になったんだ!
アクセル「あの! 本当に俺達大丈夫です! 恥ずかしながら、A様とフィリア様からの牽制もありますし」
ウェイン「アクセルの言う通りです。フィリー様とA様からは懇意に……」
お前達、躊躇いもなく皇女様達を愛称で呼んでいるのか。
トール「専属騎士達は、妹達を愛称で呼んでいたのか」
アクセル「えっ!? あ、いや、その……」
ウェイン「深い意味はありません!」
顔を赤くした二人はそろって弁明し始め、アーネストは額に筋を浮かべていた。
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作者名:print11 | 作成日時:2018年11月22日 9時