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ムーンパレスの兄妹とネーベルの兄妹 3 ページ24

そう言えば、アクセルは紹介しただろうか。ヨハン皇子と初対面でもあるが、アクセルにとっては全員が初対面だった。


トール「アクセル。クリスに紹介はしたか?」

アクセル「はい。ラーズ様に介して頂いたので、クリストフ殿下とは挨拶済です」

クリス「アクセル、だったかな? 年は私と同じ位か?」

アクセル「ええと、クリストフ殿下は、トールギス様と同い年でお間違いないですか?」

クリス「ああ」

アクセル「でしたら私は、三つ程年上になります」

トール「あと、アクセルには弟がいてさ。凄い純粋で可愛いんだ! ああいう弟だったら、絶対に可愛がる自信がある!」


ユアンは可愛い。素直だから、構いたくなるという感じだ。
俺には妹はいるが、弟はいない。クリスが羨ましいとも思ったが、実物を見ると……うん。羨ましくない。
それに、俺の妹達は変わっている。その中でもAだ。
何と言うか、妹という感じがしない。どちらかと言えば、姉と錯覚しそうだ。兄が妹を姉の様に思うのは可笑しいかもしれないが、そういう感じだ。

生まれた時はまだ、妹を守らなくてはと、可愛がっていたが、数年後には今の通りだ。
Aの考えに度肝を抜かれたのは、父と歩けるようになったAと初めて街へ視察に行った時の事。

・ ・ ・ ・ ・

父はAを抱きかかえて歩いて、俺は父の空いている片手を握っていた。
父曰くお忍びだそうで、子供を身籠っている母の為に、何か買いたいとの事だ。
見てくれは、護衛を一人も連れて外出しない国王陛下様。実際は、影が数十名ついているのは知っている。
他人から見た俺達は、貴族の仲の良い親子だ。


A「とおさま、街の人……」

シュタイナー「どうした、A?」

A「顔は笑顔でも、心が泣いてる人がいる」

シュタイナー「……どういう事だい?」

A「青い光が視えるの。顔は笑顔でも泣いてる人。それに、あの薄暗い路地にいる人達は黒い光」

トール「ひかり?」


街の人を見ても、そんなものは見えない。でもAの言う、路地に居る者達なら判る。
あそこはスラム街。治安も良くない。


シュタイナー「……Aは魔法の才能があるようだね。この街の住人はどう見えている?」

A「悲しい。人は見て見ぬふり。自分が生きる為、他人に構えない」

トール「……」


・ ・ ・ ・ ・ ・

あの一言から、ムーンパレスの礎が出来た。

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作者名:print11 | 作成日時:2018年11月22日 9時

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