カルとユアン 6 ページ18
カル side
気を失ったユアンを見ているカーティスの目は、獲物を発見したかの目だ。戦闘狂であるカーティスは、良くラーズとアーネストと手合わせをしている。本人曰く、ある程度の強者でないと歯応えがないらしい。
アーネスト「ユアンとは、カルが抱いている少年の事か？」
フィオ「ユアン君、凄いんだよ！ さっきも魔法を使ってね！」
カーティス「魔法？
A「えぇ。とは言っても、暴走をしていましたが……」
カル「少なくとも、魔法に対しての伸び代はある。A様、魔法を使ったのは、今回が初めてですか？」
A「私が目にしたのは、今回が初めてです」
気を失っていたユアンの眼が開く。
ユアン「あれ？ 僕……」
カル「まだ動くな」
ユアン「し、しょー？」
まだ目が虚ろだが、意識ははっきりしているようだ。身体は、まだ暫くは動かないだろう。
カーティス「君、魔法を使ったみたいですね？」
ユアン「カーティス、兄ちゃん……」
カーティス「良いです！ 凄く良いです!!」
A「カ、カーティス？」
カーティス「ユアン、僕の弟になりません？ この状況を見ても、それなりの魔法を使ったのでしょう？ 何より、初めてにしてはコントロールが良い」
腕の中にいたユアンをカーティスに奪われ、ユアンは高い高いをされている状態だ。
崩れた場所を見れば、確かにほぼ一ヵ所が被害が大きいが、その周辺に至ってはそこまで酷くはない。初めて魔法を使ったにしても、コントロールは確かに良い。
それに、
ユアン「カーティス、にいちゃ、気持ち、悪い」
カーティス「あぁ、すみません」
フィオ「お姉様」
フィオナ様がA様の袖を引き、次の言葉に耳を疑った。
フィオ「私、ユアン君が欲しい！ お兄様のラー君みたい！」
A「あら」
カル「お待ち下さい、フィオナ様。ユアンはまだ……」
カーティス「そうです！ 何、僕のユアンを取ろうとしているんですか！」
カル「カーティス、お前のモノではないだろう。それに、騎士になるとしてもある程度の教養と、実力を兼ね備えなければ、姫様の護衛に就ける事など出来ません」
カーティスも便乗したが、矛先はフィオナ様ではなく、A様だった。
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作者名：print11 | 作成日時：2018年11月22日 9時
