カルとユアン 1 ページ13
ユアン side
A姉ちゃんと手を繋いで、トールギスお兄ちゃんと別の部屋に来た。
兄ちゃんは、カーティス兄ちゃんとラーズ兄ちゃんと一緒に行ってしまった。
兄ちゃんと離れ離れになるのは、今回が初めてで、僕が今日からお世話になるという人の部屋に入った。
部屋の中には、涼しげな色の髪と瞳の兄ちゃんがいた。
トール「カル、お前の下で学ばせてくれないか？」
カル「ティアリスに任せれば良いのでは？」
トール「ティアリスの元は、教育に悪いだろう。毒物とか毒物とか毒物とかカーティスとか」
A「この子は純粋ですし、カルなら安心して預けられます」
A姉ちゃんは僕の肩を掴んで、涼しげな兄ちゃんの前に出した。
ユアン「兄ちゃんも魔導師なの？」
カル「…………」
涼しげな兄ちゃんは、ジッと僕を見たまま目を離さないから、僕も見つめ返した。
そう言えばこの兄ちゃん、さっきから表情が変わらない。
ユアン「兄ちゃん、表情がない」
僕がそう言えば、後ろでトールギス兄ちゃんが吹き出した。
カル「……魔法よりも先に、礼儀作法を覚えて貰うのが先か。お二方の事は、何と呼んでいる？」
ユアン「トールギス兄ちゃんと、A姉ちゃん」
トール「俺とAは、別に良いけどな。弟が出来たみたいだ」
カル「それでは示しがつきません。
A「はい。ですからその事も含め、カルにお願いしたいのです。ティアリスでは、ある人物への依怙贔屓が入ります」
カル「……私は最低限しかみません」
トール「構わない。でもきっと、ユアンはそうさせないだろうからな。それより、自己紹介してやったらどうだ？」
カル「貴方達が居なくなってからでもします。それに、報告書の提出がまだですが？」
涼しい兄ちゃんの一言で、トールギス兄ちゃんとA姉ちゃんは何か思い出したような顔をして、慌てて部屋から出て行った。残された僕は、どうしたらいいんだろう。
カル「名前は？」
ユアン「ユアン・アルマー。兄ちゃんは？」
カル「カル・レイド・ウイング」
ユアン「カル兄ちゃんだね！」
僕の発言にため息を付いたカル兄ちゃん。トールギス兄ちゃんが、さっき言っていたみたいに、カル兄ちゃんの所で学ぶらしい。
カル「とりあえず、私の事は師匠とでも呼べ」
まずはそこからだと言って、何冊かの本を僕の目の前に置いたのだ。
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作者名：print11 | 作成日時：2018年11月22日 9時
