恋愛チェリー【不死川実弥】

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間口が狭かったから、店内も狭いだろうと思い込んでいたが、奥行きがあり、思ったより広い。


内装はレトロな感じで落ち着きがあり、飲み屋、というより喫茶店に近い雰囲気。


左手にカウンターが一本、右手に4人掛けのテーブルが2つ。








店内はガランとしており、客は一人もいない。
いるのは、カウンター席の隣にパイプ椅子を置き座る４０代後半から５０代前半の女性のみ。



その女性は「すわんな」と、それだけ吐き捨てるように言い、お冷の準備をした。






その時態度に
いらっしゃいませもなかったぞ、ここは本当に大丈夫か？などとヒソヒソと話をしていた。

いや、煉獄だけはヒソヒソ話せてなかった。




皆の不満の声が聞こえないフリをして、
テーブルくっつけてもいいですか？と私がおばちゃんに聞くと、何も言わずに素通りされ、奥の襖を開けられた。


5.5畳の小上がりになった和室に長方形のテーブルが2つ。






そこに、
…………………顎で案内された…。







不満を垂れる皆の背中を押して、テーブルにつけば、
メニュー表がない。壁に貼っているのかと辺を見渡すがそういう訳でもない。


流石にこの時は私も不安になっていたが、10分もしないうちに、皆がこの店の虜になってしまった。




その理由は。




安い！早い！うまい！
この三拍子！！！




何より、食べたい物を言えば無愛想に「はいはい」と言いながら作ってくれ、その味がなんとも温かい！


当時ホームシック気味で、コンビニが主食の私にはその味が心に沁みて涙が出た。



それは私だけではなかったようで。
その後、私達は特に約束する事なくここに訪れ、


今や特等席となった和室に座っていると誰かが来て、一緒飲むと言う事を続けている。



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