風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

45.頭蓋骨の危機。 ページ45

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まさかこんな裏技があったとは。
柱になれば自分の屋敷を持ち、師範とは離れて暮らす事になる。ただでさえ柱は激務。もう気軽には顔を合わせられない。そう覚悟していたのに……拍子抜けだ。


『むふふ。』


機嫌良く軽い足取りで帰路に着く私とは対照的に、師範の顔は険しい。


「テメェ…まさか柱になりたがらなかった理由っつーのは…」

『え？！や、やだな！師範と離れるのが嫌で渋ってた訳じゃないですよ？！』


私の渾身の嘘は秒でバレ、脛蹴りを喰らった。
クソが…！歩けなくなったら責任取っておんぶして帰ってもらうからな！


「下らねェ。屋敷持ったって来ればいいだろうが。」

「だって！そうなると会うのに理由がいるじゃないですか！」


師範は屋敷に誰かが来ると、何の用だ、何しに来やがったとすぐに追い返そうとする。その事を指摘すると無言になった。ほらね、図星でしょ。そういう人だよね！毎度おはぎを献上しないといけないとかクソだるいわ！


『それに！私が屋敷から出たら、助平師範はまた可愛い隊士を見つけて継子を餌に屋敷に連れ込むんでしょ？』

「あ"ぁ"？またって何だァ！テメェがそうだとでも言いてェのか！」


ふざけんな、ンな理由ならさっさと出て行け、とお得意の脳天締め。痛い痛い！本当冗談抜きで痛いから！


『痛ぃぃいい！でも、そんな事しても出て行きませんから！第二の継子ちゃんとのハッピーラブラブライフ♡なんて許しません！』

「沸いてンなァ。軽く変形させた方が正常に働くんじゃねぇか？」

『ひぃぃぃいいい！』


頑張れ、頑張れ。風柱様よォ。と更に握力を込めてくる。
何ですぐ頭を掴むんですか！そんなに私の頭は掴み心地がいいですか？！(？)


『ギブギブギブ！お屋敷からは出て行きませんけど、ギブです！』


やっと離された後、痛みで頭を抱えてしゃがみ込んでいれば、数歩歩いた師範がポツリと呟いた。


「テメェ以外に取る気はねェよ。」


罰が悪そうに頭を掻いた師範を見れば、途端に痛みが引いた。



それは、つまり……



『嫁に取るのは私だけって事ですね！良かった！私、嫁が3人もいるとか嫌なので！生涯私だけを見て下さいね♡』

「悪ィ。もっと強く握ってやれば良かったな。」


手を前に出した師範に、冗談です、継子の話ですよね！と慌てて頭を守った。
これ以上やられたら取り返しのつかない事になる。師範は力加減が馬鹿だからそのうち頭蓋骨骨折しちゃう。(白目)



あさひ

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