風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

05.夜になったら、また子供 ページ5

・




「……」


『師範、どんまァい☆………いっった！痛い！』


「真っ当な日本語で話しやがれェ……！」



元の21歳成人男性に戻れたとぬか喜びした(と、思われる)我が師範、ご機嫌がすこぶる悪い。


流行りの外来語で慰めた私の脛(すね)は、まあまあ鋭い蹴りを食らった。だから痛いですってそれ。



『要するにアレですよね。お天道様が出ている間は元に戻れるけど、日が暮れたら……』



また子供の姿になってしまうと。理解。

確かに血鬼術だから、「夜にのみ効力がある」って理屈は何となく、わからないでもない。うむ。



「チッ、せめて逆だったら……」


『うんまあ、日輪刀は自分でちゃんと持てましたよねきっと………ちょ、痛い痛い蹴らないで下さいってば！』



一番痛いとこ狙ってくるのヤメテ？ 地味にダメージ。

いやいや、それより私は………



『とりあえず任務に行ってきます』



鎹鴉が叫んだところによれば、今夜の任務地はそこまで遠くはなく。

何なら昨夜、例の鬼が出た場所に近かった。



「俺も行く」


『いや無理ですって。刀も振れないのに、危ないじゃないですか』



もう一度大きく舌打ちした師範は、なら、と重々しい仕草 (……の、つもりだろうけどかわいい) で、腕を組む。



「……俺はまだ、戦いはしねェ。お前がちゃんと鬼共を斬ンのを、見届けてやらァ」


『エッ……何その試験監督的な立ち位置』



私ジロジロ見られると実力発揮できないんですよね、とやんわり断ろうとすれば、せっかくの綺麗なお顔に浮かぶ青筋。

ねえなんで柱ってすぐ青筋出すの？ 特技？



「監督が居ねェと、お前はロクに働かねェだろが」


『人聞きの悪い！ 給料泥棒みたいに言わないで下さいよ！』



…………バレてらァ。(小声)


でもなあ……師範は血鬼術を解きたくて、必死なんだろうしなあ……


私個人的には、このままの師範でも愛でる自信はあるけど。

鬼殺隊としてはめちゃくちゃ痛い、戦力ダウンよなあ……



『……仕方ない。迷子になっちゃダメですよしは、っ痛い痛い痛いヤメテ』



なんか脛(すね)の一番痛い部分を、ピンポイントで狙われてる件。


・

06.誰のせいだと……！→←04.師範の日輪刀長いでしょ。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す