風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

26.無自覚かよ ページ26

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夜明け近くに現場へ到着した隠へと後の処理をお任せし、宇髄さんとまた来た道を戻る途中。



「……それにしても今日のAちゃん、ご機嫌斜めだったよなあ」


『……そんなことないですよ？』


「別に刀捌(さば)きに危なげがあった訳じゃねえが、いつもより荒っぽかったよなあ」



何でかなあ？なんて歌うように言ってくるのが、正直うざい。(上官)

その理由には見当もついてるくせに、こうやっていちいち聞いてくるのがまたうざい。(一応上官)



「昨日の ” 不死川に春到来 ” 、ずっと気になってんだろ」


『べぇーつぅーにぃー？』


「いや、わかりやっっっす」



気になってなんか…………………ある。


可愛い可愛い継子が身命を賭して任務へ赴くっていうのに、自分は不能だからって(言い方)鼻の下伸ばして、いけ好かない感じの女子とお茶しちゃったりなんかして。



「あの茶屋の娘(コ)、可愛かったしな」


『ふん。男ってほんっっと単純ですよね』


「アイツ女慣れしてねーし、意外とほだされんの早えかもな」




…………確かに。


あの女子オブ女子、完全に師範狙いだったよな。

さり気なく「恋仲な御方は〜？」(悪意ある脳内声色変換)とか、師範に確認してたしな。



「ま、でも俺はAのが可愛いと思うぜ？」


『それはどーも』


「だからアイツを好いてんなら、お前も負けねえようにとっとと動くこった」


『はああああああ？』



私が？！
師範を？！



『好き………だと……？』


「いや何で疑問形だよ今更」



呆れたようにツッコんできた音柱は、とりあえず無視。


え？は？？
いきなり何言ってくれちゃってんの？？



「お前、不死川があの娘とイチャコラしてんの見て、面白くなかったんだろ？」


『それは……』



私が任務なのに、自分だけ甘味を楽しみやがってとか。あざと可愛い系女子の小技くらい見抜けよとか。


……………そんな意味で。


口ごもった私に、宇髄さんはついに吹き出す。



「ははっ…………無自覚かよ。そんじゃAちゃんは今、アレ見て………」



どう思うの？と。

くい、と宇髄さんが親指で示した先。そこには。



昨日も目にした光景と似ていた。

まだ朝も早い時間だというのに、その甘味屋の軒先に立つ二つの影。


柔らかく微笑みながら、師範の腕に絡みついているあの人と。


それを振り払うこともせず、そのまま良い様にさせている師範………………だった。



ひよ

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