風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

25.音柱が職務放棄します ページ25

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『どぅおおおりゃあああ！！』


「技名は言わなきゃわかんねえの知ってる？」



不親切ですみません。

宇髄さんと共に、本日の任務地に到着してから1時間が経過。ただいまヤケクソのように、刀を振り回しております。



そこに居たのは「そら柱も呼ばれるわな」というくらいには強い鬼だった。十二鬼月じゃないみたいだけど。



「……儂(ワシ)は元・下弦の伍じゃ！！」


『ええ……降格もあるんだ、鬼の序列も世知辛いな』



素直な感想を述べただけなのに、そのジジイ鬼を怒らせてしまったらしい。何かごめんね？



『っ、宇髄さん！！』



ジジイ鬼を追い詰めたところで、とどめを刺してもらうべく音柱に声を掛ければ。



「そんぐらいなら斬れんだろ。お前がやれ」


『職務放棄！！』


「おーいけるいける」



いや「だから柱である俺が来た！！」んじゃないの？！
ん？ これ炎柱のセリフだったっけ？ 知らんけど。



本音を言えば、その頸を斬りたくはない。
でも師範が居ない場での職務放棄は、師範の立場も悪くするから。



『クソがァ！！ ……っ、風の呼吸・壱の型、塵旋風・削ぎ！！』



今度こそ技名を叫びながら斬撃を放てば、ジジイ鬼は汚い断末魔を上げた。


睨みつけてくる、胴体と切り離された頭部。
数秒後、それらはあっけなく塵となる。



「よーし、お疲れ」



パンパンと手など叩きながら、宇髄さんが近づいてきた。
ヤツ(上官)は他の雑魚鬼数体を斬っただけなので、ミリも疲れていないご様子。



『ちゃんと働いて下さいよ、音柱』


「部下に経験積ますのも、上官の仕事の内よ」



ああ言えばこう言いやがる(上官)宇髄さん、ほんと口が上手い。うちの師範にも、そのスキル分けてあげて欲しい。あ、冨岡さんにもね。


………おかげでまた、柱へのカウントダウンが進んでしまったじゃないか。不本意だ。



師範仕込みの舌打ちをかませば、隣からは呆れたような溜息。
「つうかよ」と。



「なんでお前、んな柱になんの嫌がんだ？」


『何で、って……』



つい最近、同じことを師範にも聞かれたっけ。



「俺から見ても、お前は柱として十分やっていけると思うがな」



ぽん、と頭にのせられた手は、いつもの師範のそれより大きくて重い。

宇髄さんは他人をよく見ている。だから怖い時がある。



『……柱って激務すぎですし。私には無理ですよ』



いつもの言い訳を返せば、隣で宇髄さんがもうひとつ、溜息をついた。



ひよ

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