風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

03.頸を切る？知らんかった。 ページ3

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「とりあえず状況は分かりました。」

『師範は戻るんでしょうか…っ！』


急遽任務地から帰還してくださったしのぶ様は一通りの診察を終えて私と師範に向き直った。


「Aさん。つかぬ事をお伺いしますが不死川さんに血鬼術を掛けた鬼は？」

『え………聞いてくださいよしのぶ様！もう私、全速力だったんです！このイカツイ…あ、今は可愛いですね！いたいっ！師範！脛は蹴っちゃ駄目です！何してんですかまったく！』

「……Aさん、鬼は？」



眉間とこめかみがピクピクしているしのぶ様。綺麗なお人は怒ってもお綺麗☆なぁんて誤魔化せるか？いや、このお顔のしのぶ様は結構マジで怒ってる。擦り傷の塗り薬に唐辛子練り込まれそうだからやめとこ。


『鬼殺隊・風柱の一世一代の危機と思いまして！』

「思いまして？」

『倒れ込む師範を死物狂いで背負い！』

「背負い。」

『帰還した次第で御座います！』

「………」



柱ですよ！柱！居なくなったら(私が)大変！と、力説してドヤ顔していれば、しのぶ様はため息一つ落として師範の方へと向き直った。


「不死川さんなら、理解されてますよね？」

「………」

「Aさん、不死川さんの血鬼術を解く方法はご存知ですか？」

『しのぶ様が…師範を薬漬けにしたり天日干ししたりしたら…ワンチャン。』

「本気で言っていますか？」



ヤバい。しのぶ様の後ろから黒くズワンとした影が見えた気がする。師範を見れば幼くなったそのお顔で奥歯噛み締めてる？え、てゆうか顔に傷無くない？何その綺麗なお顔。改めて見るとホント師範顔整ってるな。私の養子にしてやらん事もない。


「血鬼術を掛けた鬼の頸を切る。」

「その通りです。不死川さん。」

『……………へ？？』



鬼を斬るのは当たり前。
師範を助けた。偉い。私は間違ってない。
あのままだと師範死ぬかと思ったし。
だがしかし！！


『師範っ！！何でそんな大事な初期設定言っとかないんですか！？それでも風柱ですか！？』

「言ったわボケェェェ！！！」

『そんなの記憶に無いですよ！だいたい血鬼術に掛かる柱とか過去に居たかも分かりませんし！…ぐふっ、すみません。つい笑いが…だから師範は私に教え損なったんじゃないですか！？』

「何度も何度も言ってるわボケェェ！」

「………不死川さん、Aさん。いさかいは屋敷に帰ってからにして下さい。とにかく＿＿＿＿」




このご都合と呼ばれる血鬼術は、掛けた鬼の頸を斬らない限り師範の掛けられた術は解けない可能性が高いと教えられた私。


殺意を隠せていないチビっ子師範と闇夜の中、風柱邸へと無言の帰宅をしたのだった。



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