15.継子への、情 ページ15
side 不死川実弥
___泣いてやがる。
休息も仕事のうちだと一丁前に諭してきた継子の、小さな悲鳴で目が覚めた。
そう頻繁なわけではない。
だがこの屋敷で共に生活するようになって、幾度めか。
普段は阿呆で無駄なまでに明るい奴が、『お父さんお母さん』と鬼に食われた家族を呼んで、泣く。
寝ぼけているからか、思い出したくもない記憶だからかは知らないが、起きた後のAはそれを全く覚えていない。
ただ毎度毎度、俺が宥めないことには泣き止まないものだから、致しかた無く。
床から起き上がり、Aの部屋へと急げば、より大きくなる泣き声。
戸を叩くことは最早せず、その内へ入った。
『ううっ……おかあ、さんっ………嫌だ……!』
布団に
「………もう大丈夫だ、A。鬼は全部、俺がたたっ斬ったかンなァ」
『う、うぇぇ……っ、』
赤ン坊にしてやるように、ポンポンとその背を何度も軽く叩きながら、声を掛け続けた。
「鬼は存在しねェ」と言ってやれたら、どんなに良いだろう。
そんな世にするために日々戦ってはいても、まだそこに辿り着けないのが、悔しくて堪らない。
嗚咽が少しずつ小さくなってきたのを見計らい、布団の中へと誘導してやれば、Aはやはり。
『やだっ………一人に、しないで……』
相当な力で俺の浴衣を握りしめ、そう言ってまだ泣こうとするから。
「……おォ、俺はどこにも行かねェよ。ここに居てやっから、安心して休めェ」
その昔、まだ小さかった弟妹達にしてやったように、添い寝しながら囁いてやる。
そうしてようやく、Aは落ち着くのだ。
(………妹と、思えやいい)
他人様から見れば不健全だろう。
年頃の、夫婦でも恋仲でもない男女が添い寝など。
それでも、そんな一般論では片付けられない情は、確かに存在する。
少しずつ穏やかな寝息を立て始めたAにつられ、俺も重くなってきた瞼を閉じた。
____翌朝。
腕の中でモゾモゾと身じろぎする気配に、ゆっくりと意識が浮上する。
薄目のままで視線を下ろせば。
「……テンメェ……何してやがる……!」
『あっ、おはようございます師範! ちょーっと今朝の胸筋の具合を、………んぎゃっ!』
俺の浴衣へと手を掛けていた阿呆継子はとりあえず、布団から思いきり蹴り出しておいた。
ひよ(フラグ回避…!)
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あさひゆうひ(プロフ) - らんさん» 最後まで嬉しいコメントありがとうございます!(泣)らん様のコメントでモチベ保てたと思っております!何と!過去作まで…!時期はカナリ過ぎましたが、今からでもお歳暮を贈りたい…!(は?)私も!京華に負けないくらい愛してますっ!(黙れ) (2023年1月11日 18時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - らんさん» コメントも最後までありがとうございましたァ💖話数埋めたくなる性癖が最後に仇となり苦しみ苦しませましたが何とか完結出来て安堵です💖過去作までありがとうございます💖愛してます(突然の告白、笑)…感謝ァ💖 (2023年1月11日 15時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - らんさん» らん様(泣) 最後までお付き合い頂き、コメントも頂き…本当にありがとうございました!!(号泣) いえ、最後は「やべえ、、後○話だぞ!」と残話数との戦いでございました(照) 少しでも楽しんで頂けたようで本当に良かったです♥ 何と過去作まで?! 光栄です! (2023年1月11日 15時) (レス) id: 3e3d9df1bb (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - うわああ!!ノープランとは思えない程とても面白く楽しく読ませていただいてました!しかも50話ぴったりですか!?流石に天才すぎてびっくりしちゃいますね❤︎お三方の書く風柱が1番風柱してて好きすぎて作品全て読破してしまいました! (2023年1月10日 15時) (レス) @page50 id: 7e2a2b21bf (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - らんさん» らん様、おいでませ!コメントありがとうございます♥ 書いてる本人達も完全初見のノープランのため(滝汗)、不安で震えながら書いて出し更新をしておりますので、、そんなこと言って頂き号泣必至です…!もちろんです!いつでも何度でも、お待ちしてますね♥ (2022年12月30日 11時) (レス) id: 3e3d9df1bb (このIDを非表示/違反報告)
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