風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

12.手掛かりを探しに ページ12

・





急かしてくる師範に(心の中で)舌打ちしつつ、猛ダッシュで朝餉の片付けをした私。誰かほめて。


つか眠い、本当はぬくぬくお布団で仮眠を取りたい。

でもそれはきっと実行できないどころか、本気で血反吐を吐く地獄の鍛錬に突入するだろう……



町をお散歩(聞き込みだったっけ)のが、全然マシだ。



「早くしろやァ……」


『あのね師範、女子には女子の事情ってもんがあるんですよ。そういうとこ気が利かない男は、モテませんからね！』


「……」


『はい！ もう喜んで！今すぐ行けますんで！！』



こっっわ、怖いわ！
無言で指の関節バッキバキに鳴らすのヤメテ？！



チィッ！と特大の舌打ちをかました師範と連れ立って、屋敷を出る。

いつもより気持ち、ゆっくりとした足取りで。



『あ、師範。そう言えばしのぶ様からお返事がきてまして』



優秀な継子は、「また師範が縮みました」との報告を送っておいたのだ。

そのことでもう少し詳しく話を聞きたいから、また蝶屋敷に来てくれとのこと。



「チッ、面倒くせェ……」


『でももう一度、診といてもらった方が良いと思いますよ？ ただ単に縮んでるってわけじゃなさそうだし』



縮むサイズが違うとか縮んでない(ように見える)とか、一筋縄じゃいかない印象だもん、この血鬼術。



「胡蝶ン所に行くにしたって、あのクソ鬼を斬らねェことにゃ話が進まねェ。まずは手掛かりだ」


『……』


「……ンだよ」


『いや師範て、脳筋かと思わせといて意外と頭脳派ですよね』



意外とって何だ、と私の頭を鷲掴みにしようとしてくる手から逃れるように、身体を捩(よじ)り。



『……っあ！ あそこお団子屋さん！ ちょっと聞いてみましょう！』



例の鬼を含む何体かが出現した付近。

駆けつけたのは当然夜、しかも確かあの日は新月、月明かりもさして無かったから＿＿＿＿



「数軒とはいえ、店が在ったンか……」



全て民家と思ってたなァ、とその一帯へ視線を走らせた師範。

私が真っ先に目をつけたお団子屋さんの他、金物屋さんだの食事所だの、よく見ればちらほらと。


鬼殺隊は非政府組織。

聞き込みは正直、民家よりはお店の方がしやすい。



「……っし、端から順に回ンぞ」


『え、お団子屋さんからでしょ！ ……いだだだだ、ｽﾐﾏｾﾝﾃﾞｼﾀｧ！』



今度こそバカでかい手に頭を鷲掴みされ、涙目になった私はしぶしぶ、後に続いた。



ひよ(……そろそろタイトル変えるか？)

13.鬼を斬る決意。→←11.私、実は大家族でした。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す