01.師範がドジりました。 ページ1
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その日も、師範と共に夜を駆けた。
雑魚鬼ばかりだが、数が多く分かれて狩る事にした私達。師範の方の鬼の気配がどんどんと消えていく中、私は地面に膝をついた。
『チッ。トラップか…。』
「いや、アンタが勝手にすっ転んだだけだろ!」
本当に鬼狩りか?なんて失礼な事を言い出す鬼共。
ヤバイな、さっさとしないと師範にどやされる。
でも、膝擦りむいちゃったし…このまま師範を待ってようかな。結構走ったし、疲れたなー。
「おい!遠い目になってるが、こっちから行っていいのか?!」
『ダメ!怪我しちゃったもん!もうすぐ師範が来るから待ってて!』
「テメェは…何が怪我しちゃっただァ…」
『あ!師範!お疲れ様です!もう終わったんですか?』
では、こっちも!と、お願いするより先に師範はどかりと座り、「俺ァ手ェ出さねェ。テメェの分はテメェで片せ。」と。
それでも師範か!と言いたい所だが、眼光炯々。早くしろと言わんばかりの無言の圧に当てられれば、しょうがない。これ以上機嫌を損ねると怖いので、渋々鬼達を倒していった。
「動きは悪くねぇんだがなァ…」
溜息と共に漏れた師範の言葉は私に届く事はなかった。
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『師範!あと一体で終わりです!朝餉は何にしましょう!』
「阿呆ォ。集中しろ。」
目の前で腕を振り上げて走って来る鬼。私も間合いを詰めようとしたその時、またもトラップが…!
『あ。』
「!___あの馬鹿!」
転んだ衝撃も鬼に傷つけられた痛みもない。
当然だ。こんな時はいつも師範が助けてくれる。
『____え?』
「…………クソがァ…」
目に飛び込んで来たのは、片膝をつく師範。聞こえて来たのは鬼の笑い声と「血鬼術___」と技を繰り出す前に必ず言わなければいけない技名。
嘘…師範が…血鬼術に…?
片膝が両膝に、手までついた師範に流石に焦った。
『ヤダ!師範、死なないで!誰がこれから私を守るんですか!』
「……」
いつもなら鋭い突っ込みを入れてくれる師範が何一つ面白い返しをしてくれない。これは…本当にヤバイかもしれない。直ぐにでも蝶屋敷に…!
『ちょっとたんま!師範を手当するから、アンタここで待ってて!』
「………は?ふざけるな!それでも鬼狩りか!」
『だって師範が!私にとって師範より大切なものなんてないの!だから、黙って待ってなさい!』
鬼と師範の静止を振り切り、私は師範を担いで蝶屋敷へと駆け出した。
どうか、どうか師範が……
これからも私を守ってくれますように。
そう心の中で何度も祈りながら。
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あさひゆうひ(プロフ) - らんさん» 最後まで嬉しいコメントありがとうございます!(泣)らん様のコメントでモチベ保てたと思っております!何と!過去作まで…!時期はカナリ過ぎましたが、今からでもお歳暮を贈りたい…!(は?)私も!京華に負けないくらい愛してますっ!(黙れ) (2023年1月11日 18時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - らんさん» コメントも最後までありがとうございましたァ💖話数埋めたくなる性癖が最後に仇となり苦しみ苦しませましたが何とか完結出来て安堵です💖過去作までありがとうございます💖愛してます(突然の告白、笑)…感謝ァ💖 (2023年1月11日 15時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - らんさん» らん様(泣) 最後までお付き合い頂き、コメントも頂き…本当にありがとうございました!!(号泣) いえ、最後は「やべえ、、後○話だぞ!」と残話数との戦いでございました(照) 少しでも楽しんで頂けたようで本当に良かったです♥ 何と過去作まで?! 光栄です! (2023年1月11日 15時) (レス) id: 3e3d9df1bb (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - うわああ!!ノープランとは思えない程とても面白く楽しく読ませていただいてました!しかも50話ぴったりですか!?流石に天才すぎてびっくりしちゃいますね❤︎お三方の書く風柱が1番風柱してて好きすぎて作品全て読破してしまいました! (2023年1月10日 15時) (レス) @page50 id: 7e2a2b21bf (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - らんさん» らん様、おいでませ!コメントありがとうございます♥ 書いてる本人達も完全初見のノープランのため(滝汗)、不安で震えながら書いて出し更新をしておりますので、、そんなこと言って頂き号泣必至です…!もちろんです!いつでも何度でも、お待ちしてますね♥ (2022年12月30日 11時) (レス) id: 3e3d9df1bb (このIDを非表示/違反報告)
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