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『不死川さん…これ…』
「うるせェ!………わかったかよォ…」
『あーいや、その…分からない…かな??』
「あ"?テメェの理想通りに書いてやっただろうがァ!」
理想通り、そう言われてハッとした。
そうか…これは長期任務の時に読んだ本にあった恋文の…。
そう言えば、一言だけの恋文が男らしくて好きだと言った気がする…。
そんな事…覚えてくれていたんだ…
と、嬉しくは思うが…
だがしかし、これでは伝わらないぞと貰った文を不死川さんにも見えやすいようにして、そこを指差した。
「……………“き”がねェなァ…………。」
『はい。これじゃー女子だです。不死川さん女だったんですか?』
「……。」
私から奪い取り、今にも木っ端微塵に斬り刻みそうな不死川さんの手を必死に止めた。
『ちょっと!私のですよ!破かないで下さいよ!』
「うるせェ!俺が書いたのどうしようが俺の勝手だァ!その手ェ離しやがれェェェ!」
『嫌です!好きな人からもらった初めての恋文なんですっ!』
そう言うとピタリと動きを止めた隙に文を奪い取った。
『私の宝物です。』
くしゃくしゃになったじゃないですか!と文句を言うと
不死川さんは乱暴に後頭部を搔いた。
そろそろ禿げるんじゃないかと思う。
「………書き直す。だからそれは捨てろォ。意味分かんねェだろォ。」
『嫌です。これがいいんです!でも、不死川さんの気持ちはまだ聞いていないから。』
直接聞きたいです、そう言うと不死川さんは更に顔を赤く染め、あーだのうーんだの言いながら後頭部を掻きむしった。
きっとあの一帯の毛根は死滅したと思う。
そんな姿すら愛おしくて。
白髪…はもう既にだが、禿げたとしても私の想いは変わらないなと自分でも分かる程表情が柔らかくなった。
その瞬間、実弥さんに抱きしめられ、耳元で小さく好きだと囁かれた。
『私も、
煉獄さんに伝える時とは違って、つっかえる事なくすんなりと出て来た言葉。
大好きだ、心からそう思える。
『あ、でもちゃんと恋文も書いて下さいね!』
「……もう直接言ったんだからいいだろうがァ!」
『ダメです!このままじゃ女子だ、です!私は女狂いじゃありません。間違えない様に次は愛してるにして下さい。』
「……………あい、、!?」
こうして、字が書けない風柱と
宛名を間違える鳴柱の恋文文通は
この日から始まったのだった。
完
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あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» ナニシテンノ?おめめ心配。寝ろ寝ろ寝ろ。 (2月5日 5時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初コメント失礼致します(いやこれ何でコメントしてないの?え?読んでたよね?と困惑。バグってんの?まぁいいや←)一気読みしてしまいました。惚れてくれてる実弥イイ!笑いながら読んじゃいました。眠いのに実弥熱が沸き起こって眠れないけど寝ます。また書いて。 (2月5日 1時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - なおさん» 完結して随分経つ話にコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!鴉たち頑張りましたー! (2022年7月28日 23時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
なお - 鴉すごっ!天才やん そしてあさひゆうひさんもこのお話を考えれるなんて天才だよー 天才過ぎてヤバイ 不死川さんたちお幸せに!! (2022年7月26日 22時) (レス) @page50 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 環さん» 環ちゃん!久しぶり…!まさか読んでくれたとは!!!オチを書きたいだけのお話でした。コメントありがとう!とっても嬉しかったです♥ (2022年4月7日 23時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
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