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39. ページ40

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呼び出したものの、
えっと…と言葉が詰まり、中々切り出せない。

そんな私を見て煉獄さんは助け船を出してくれた。



「A、今一度言おう!俺はAを好いている!」



恥ずかし気もなく真っすぐに伝えられた言葉に息を呑んだ。



好きで、好きで。
いっそ燃え尽きてくれないかと思っても消える事がなかった恋慕の情。



決して一過性のものじゃない。
長年想い続けてきた私の本物の気持ちだ。



迷う必要なんてない。
何も考えずに、夢にまで見た煉獄さんの胸に飛び込めばいい!!




喉の奥につっかえた言葉を絞り出した。




『私も、煉獄さんが好きです!』




大好きな人、間違ってなんか、ない。




脳裏に焼き付いて離れない
すれ違う時に見た不死川さんの寂し気に笑う横顔に
煉獄さんの笑顔を貼り付けた。



これでいい。
遠回りしてしまったけど、私はずっとこうなる事を望んでいた。



「A…」



初めて呼ばれた私の名前。
ドキリと大きく心臓が脈を打つ。
と同時に何故だかざわざわと落ち着かない。





「A…」





脳内で再生され、響き渡る擦れた低音。


その声が、どうして…
今目の前にいる煉獄さんではなく、不死川さんの声なんだろう。





「A…?」





自分の思考に後ろめたさを感じ、顔を伏せた。


すると、頬に添えられた手によって促されるように顔を上げ、視線がぶつかった。


煉獄さんは眉を下げて笑っていた。


その顔の意味が分からず、困惑していると、ゆっくりと距離が縮められる。




私が大好きな彼がゆっくりと…




目を瞑り、受け入れよう。



受け入れたいと思うのに、



気付くと私は顔を背けていた。



『……す、すみません。あの、その、びっくり、して…』

「いや!こちらこそすまない!初めてだったのだろう!」



初めて、という言葉にピタリと動きが止まる。



何故、不死川さんは受け入れたのに、煉獄さんは受け入れられなかったのだろう。



任務だったから?
急だったから避けられなかった?



違う。あの時、私はこれから何が起こるのか分かっていた。
分かっていたのに、自分の意思で不死川さんを受け入れた。



私が好きなのは煉獄さんのハズなのに……
今度こそ腹は決まったと思っていたのに…。



どうして…
実弥さんじゃなきゃ受け入れられないんだろう。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» ナニシテンノ?おめめ心配。寝ろ寝ろ寝ろ。 (2月5日 5時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初コメント失礼致します(いやこれ何でコメントしてないの?え?読んでたよね?と困惑。バグってんの?まぁいいや←)一気読みしてしまいました。惚れてくれてる実弥イイ!笑いながら読んじゃいました。眠いのに実弥熱が沸き起こって眠れないけど寝ます。また書いて。 (2月5日 1時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - なおさん» 完結して随分経つ話にコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!鴉たち頑張りましたー! (2022年7月28日 23時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
なお - 鴉すごっ!天才やん そしてあさひゆうひさんもこのお話を考えれるなんて天才だよー 天才過ぎてヤバイ 不死川さんたちお幸せに!! (2022年7月26日 22時) (レス) @page50 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 環さん» 環ちゃん!久しぶり…!まさか読んでくれたとは!!!オチを書きたいだけのお話でした。コメントありがとう!とっても嬉しかったです♥ (2022年4月7日 23時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あさひゆうひ | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年2月2日 10時

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