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実弥さんの気持ちを聞いてから1週間。
未だに私は本当の事が言えずにいた。
任務帰りに地面を見つめながら、本日何度目か分からない溜息を吐くと、
遠くからでも分かる。
私とは対照的な溌剌とした声に勢いよく顔を上げ、考える間もなく駆け出した。
『煉獄さん!』
「む!A!久しいな!」
『お久しぶりです!中々お会い出来ませんでしたもんね!任務帰りですか?』
久々に会えた想人に頬が染まり、胸が躍った。
偶然会えただけでも嬉しいのに、煉獄さんは最近私が屋敷に来ていないから心配していたと。
心配させたのは申し訳ないが、
私の事を気に掛けてくれていたなんて…
曇っていた心が一気に晴天に。
折角会えたのだから。
近況報告や、他愛もない話を続けようとすると、煉獄さんは
では!1週間後の柱合会議でな!と羽織を翻した。
待って。やっと会えたのに。もう少し、もう少しだけ…!
このままさようならは嫌だと私はとっさに彼の羽織を掴んだ。
ん?と近すぎる程顔を近づけて、
私の顔を覗き込む煉獄さんに更に熱が集まる。
とっさに羽織を掴んだが、何も考えていなかった。
彼を引き止められる、
彼と長く居られる術を探し、無い知恵を絞った。
『あ、あの!家に薩摩芋が沢山あって…一人では食べきれなくて…良かったら手伝って頂けないでしょうか!』
「!よもや!腐らせては大変だ!手伝おう!」
とびっきりの。太陽にも負けない笑顔で言われれば
私の心に炎の呼吸 壱ノ型 不知火が貫いた。
効果抜群!
余りの破壊力に私は堪らず胸を押さえて蹲った。
「どうした!A!」
『じ、持病の発作です…お気になさらず…』
「よもや!すぐに蝶屋敷に行こう!」
有無を言わさず私を横抱きにした煉獄さんに
慌ててしのぶには診て貰っているから大丈夫だと伝えると、すぐに納得し、降ろしてくれた。
悪化した恋という名の持病に胸を押さえながら、
お互い任務帰りだし、一端屋敷に帰りゆっくり、ゆーっくり湯浴びしてから私の屋敷に来て欲しいと言うと、
彼はそれに従い去って行った。
見えなくなるまで彼を見送った後、
私は足に力を込めて全速力で走った。
戦闘だと柱の中では弱いかもしれないが、速さだけなら上位に入る。
更に言うなら、逃げ足なら誰にも負けない!(他の柱は基本逃げません。)
その辺の隠をとっ捕まえて、大至急で屋敷の掃除とお風呂の準備を頼み、私は、以前助けたお百姓さんに頼み込み大量の薩摩芋を手に入れた。
職権乱用?何それ、知らない。
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あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» ナニシテンノ?おめめ心配。寝ろ寝ろ寝ろ。 (2月5日 5時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初コメント失礼致します(いやこれ何でコメントしてないの?え?読んでたよね?と困惑。バグってんの?まぁいいや←)一気読みしてしまいました。惚れてくれてる実弥イイ!笑いながら読んじゃいました。眠いのに実弥熱が沸き起こって眠れないけど寝ます。また書いて。 (2月5日 1時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - なおさん» 完結して随分経つ話にコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!鴉たち頑張りましたー! (2022年7月28日 23時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
なお - 鴉すごっ!天才やん そしてあさひゆうひさんもこのお話を考えれるなんて天才だよー 天才過ぎてヤバイ 不死川さんたちお幸せに!! (2022年7月26日 22時) (レス) @page50 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 環さん» 環ちゃん!久しぶり…!まさか読んでくれたとは!!!オチを書きたいだけのお話でした。コメントありがとう!とっても嬉しかったです♥ (2022年4月7日 23時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
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