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その後も、根っからの兄貴肌の彼は尽く世話をやいてくれた。
駄目なものは駄目だとはっきりと言ってくれる。
でも、基本的には褒めてくれて。
彼と蜜璃、二人掛かりで褒められると、恥ずかしくも自己肯定感が高まり、自信がついた。
そうして、自信がついた事で実力もどんどんと上がっていき、気づけは私は鳴柱となっていた。
◇
責任感が強く、誰とでも分け隔てなく接する事が出来る彼。
決して人の陰口を言わない、裏表のない真っすぐな人格者。
太陽のように笑う彼を好きになるのに時間は掛からなかった。
鬼殺隊、まして柱同士で色恋なんてと初めは自分の気持ちに蓋をしようとしたが、日を追うごとにどんどんと惹かれていった。
会うたびに深みにハマっている事を自覚して、これで最後だからと何度も言い聞かせて。
でも、またすぐに会いたくなってしまって。
会いたくて、逢いたくて。
せめて一目だけでも、お声だけでもと。
衝動を抑えきれずに、気づけば無理矢理用事を作り会いに行く。
そんな私を彼は嫌な顔一つせず、笑顔で迎えてくれた。
それが、嬉しくて。どうしようもなくて。
止まらない、止められない気持ちに拍車がかかった。
そうして、日々募っていった想いに耐え切れず、2週間前とうとう恋心を告げる事を決意し、恋文をしたためた。
◇
私の鎹鴉、
自分の気持ちを曝け出す恥ずかしさで、何度も机に額を打ちつけながら、やっとの思いで書き記した文。
__経略
拝啓、煉獄杏寿朗様
お慕いしております。
今日、午後4時。
何時もの定食屋の前でお待ちしております。
御迷惑でしたらこの文は捨てて下さいませ。
つらつらと想いを書くのはやめ、短くそれだけ書いた。
書き終わった文をもう一度見返し、綺麗に折る。
もう直ぐ…この恋文が…
私の気持ちが、煉獄さんに知られてしまう…
そう思うと、文を折る手が震え、ドクドクと早く大きく心臓が音を立てた。
胸に手を当てて、落ち着けとスーハーと深呼吸をすると、喉がカラカラになっているのに気づく。
よ、よし、一旦落ち着いて、それから出そう。
深呼吸を繰り返しながら、長い廊下を渡り、乾ききった喉を潤しに台所へ足を進めた。
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あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» ナニシテンノ?おめめ心配。寝ろ寝ろ寝ろ。 (2月5日 5時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初コメント失礼致します(いやこれ何でコメントしてないの?え?読んでたよね?と困惑。バグってんの?まぁいいや←)一気読みしてしまいました。惚れてくれてる実弥イイ!笑いながら読んじゃいました。眠いのに実弥熱が沸き起こって眠れないけど寝ます。また書いて。 (2月5日 1時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - なおさん» 完結して随分経つ話にコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!鴉たち頑張りましたー! (2022年7月28日 23時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
なお - 鴉すごっ!天才やん そしてあさひゆうひさんもこのお話を考えれるなんて天才だよー 天才過ぎてヤバイ 不死川さんたちお幸せに!! (2022年7月26日 22時) (レス) @page50 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 環さん» 環ちゃん!久しぶり…!まさか読んでくれたとは!!!オチを書きたいだけのお話でした。コメントありがとう!とっても嬉しかったです♥ (2022年4月7日 23時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
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