21. ページ21
.
『ねぇ、実弥くん！楓ちゃんに好きな子出来たの知ってる？』
朝、出勤前にAの顔見たさに
貰い物だと嘘をつき差し入れを持って
時間の許す限り話をしていると
唐突に聞かれた質問に思わず眉を寄せた。
どうやら甘露寺が楓を預かってくれた時に
病室に連れて行きそんな話をしたらしい。
「………………………幼稚園の野郎かァ？」
『ぶっぶー！あれ？もしかして怒ってる？』
「んなケツの穴の小せェー男じゃねェーよォ！でェ？誰だよォ…」
『ふふ、聞きたい？』
「……………………まぁ、」
俺の耳に口を寄せ、ふふと笑いながら小声で話す。
そんな仕草にすらドキリと胸が高鳴っちまう。
『と、み、お、か、先生！』
「あ"？冨岡ァ"…？」
ムフフ、と冨岡の真似をするA。
ついギロリと睨んじまえば、顔を青くしてごめん、ごめんと連呼し、
顔が怖いだとか、ゴゴゴゴ、ビキビキ言ってるだとか訳の分からねぇ事をほざきやがる。
冨岡ァ…学校着いたら覚えてやがれェ…
いつの間に人の娘に水向けてやがったんだァ…
『楓ちゃん意外とイケメン好きだね！』
「……。」
そういや、俺と付き合う前Aの奴冨岡の事イケメンだなんだつってやがったなァ…
今のAも冨岡はイケメンつー認識なのかよォ。
娘どころか嫁にまで色目使いやがってェ…
斬り刻んでやらァ…冨岡ァ…
自分でも気づかねェーうちにドス黒いオーラを発していたらしく、
Aは楓ちゃんはパパが一番だと思う！だとか慌てふためいている。
その慌てように思わず、吹き出して笑えば、Aも眉を下げて笑った。
「楓も好きな奴とか出来る年頃なんだなァ…」
『寂しい？楓ちゃんパパ』
「………別にィ。冨岡つーのが気に入らねぇがなァ」
「冨岡先生かっこいいから！」
『………ふーん。Aは冨岡みてぇなのがタイプなんだなァ』
『え？違うよ？私は実弥くん…』
「………は？」
『え、あ、ち、違うよ！いや、違くもないけど、と、冨岡先生よりは実弥くん派、かな、くらいの…』
「へー。Aﾁｬﾝは俺がタイプなんかァ。」
『違うって！さ、実弥くんは？どんな人がタイプな、』
「A。」
『え？』
「俺のタイプ」
恥じらいがぱっと咲くようにみるみる紅潮していくAが可愛くて、愛おしくて
込み上げてくる想いに喉の奥で笑ってりゃ
またからかった！と怒るA。
ずっとこの時間が続けばいい。
そう思うほど穏やかな時間だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» 何してんのw1億年ぶりに開いたから通知多過ぎて全消ししようとした瞬間に目に入ったw見落とすところやったやん！言ってよ！😂さびしんぼうめ愛愛愛♡気を使わず連絡してこいや！そんでおひよは元気にボール蹴ってるのかな？元気ィ？ (3月25日 18時) (
レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結お疲れ様でした…こんな真面目なお話をあさひさんが書いた事と一気読みしながら涙出た自分にも驚きました…下ネタ封印完遂した！と思ったら、しっかり第二子仕込んでいて安心しました。真面目にコメしようとしてんのに私も完遂出来ないみたいです…結婚おめでとう！ (3月21日 23時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりさん» りりちゃん！！！コメントありがとう！！嬉しいよぉー！泣 いつも褒めてくれるりりちゃんの語彙力に脱帽するばかりです！！！ (2021年8月1日 21時) (レス) id: 2af9c629e7 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 遅くなってゴメン！！完結おめでとう (*^^*)感情移入しすぎて途中本当に苦しかったけど、それでも折れずに夢主を思い続ける実弥が素敵だったよ。あさひちゃんの振り幅のデカさに脱帽するばかり。色んな雰囲気のお話が書けるってスゴイ！！！ (2021年7月31日 14時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - さらりとクマさん» 闇柱様？！？！？！し、失礼しました…！さらりとくまさん、初めまして！身に余る素敵なお言葉の数々大変恐縮しております。実弥さんは嫁も娘もめちゃくちゃ大切にしてくれそうですよね！家族愛！！！！ (2021年7月31日 10時) (レス) id: 2af9c629e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
