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康二side



チュンチュンチュン…


鳥の鳴き声で、ハッと目が覚める。


さっきの夢は、何やったんやろ。


スマホを見ると、まだ7時。

今日はオフの日やから、もうちょい寝とこかな。


そう思って布団に入るけど、なぜか寝られへん。

しょうがないから起きて、朝ごはんを食べる。


一日フリーか…。

せなあかんこともないし、病院行こうかな。

昨日も行ったけど、そんなん別にええやろ。


そうと決めたら、すぐに家を出た。


しばらく歩いて、病院に着く。

前来た時とおんなじように裏口から入って、廊下を進む。


阿部ちゃんの部屋に入ろうとすると、前まではなかったものが目に入った。


面会謝絶


と書かれた紙。


真っ白なドアに、その文字がハッキリと見えた。


一気に、不安が募る。

でも、俺にはどうしようもできへん。


頭の中にふと、ある言葉がよみがえってくる。


『信じてるから』


めめの病室で、ラウが言ってたこと。


俺が、2人を信じてあげやな。

阿部ちゃんもめめも、俺ら以上に不安やろな。

今日会えやんとしても、明日会えるようになってるかもしれへん。

そう信じとくしかないわな、今んところ。


幸いにも、めめの病室のドアに「面会謝絶」の文字はない。

ドアを開けようとすると、それより先に中から誰か出てきた。


佐久間「康二!」

向井「さっくん!ほんまにびっくりしたわ〜」

佐久間「こっちも〜。一昨日会ったよな!」

向井「もう帰るん?」

佐久間「家帰ってアニメ見よっかなって。テレビの容量ヤバくて」

向井「ほなバイバイ」

佐久間「またな〜」


さっくんと別れてから、めめの病室に入る。

めめの誕生日に持ってきた花が、目に入る。

そういえば昨日、水換えるん忘れてたよな。

花瓶を慎重に持って、流しへ行く。


誰も使ってへんはずの流しが、濡れてる。

さっくん?

水換えてくれたんかな。


花をそっとかき分けて、中を見る。

水が、花瓶いっぱいに入っている。

こんなに入れたら溢れてまうし、花傷んでしまうやんか。

ま、水換えてくれたから、別にええか。

水をちょっと捨てて、花瓶を戻す。

それにしてもこのお花、長持ちしてるんやな。


グゥゥゥ…


病室の時計は、1時を指している。

もうこんな時間か。

何か売店で買って食べよかな。

そう思ったけど、肝心なことに気づいた。


財布、家やんか!!


こんな重要な時に限って財布ないとか、ほんまに最悪やな。


向井「昼からもっかい来るわな」


返事が返ってこないのは分かっているけど、どうしても話しかけたくて。

家で何か食べてから、すぐ来よう。


慌てて病院を出た。


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作者名:まっちゃ | 作者ホームページ:No.  
作成日時:2022年1月5日 10時

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