あさやけだんし2 Y.Takaki

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雄也「てきとーに座って。」





あーどかしていいよそれ。





玄関の靴箱の上にキーを置きながら、先を歩く私に雄也が呼びかける。







「片付けなさいー。もう。」





雄也「帰って来てからろくに家にいねーのー。




えー…っと何飲む？」







「んー？」






きっと乾燥機で乾かしたままの服の山。






んー…




畳んであげよっか。





ちょこんと座ってとなりに眺めてみたとき。






雄也「あ、そーだ。ねぇねぇ見て。」






「なにー？」






雄也「ここの部屋ねー海見えんの。」







「ほー。すごーい。」






防波堤の奥に広がる砂浜と海。







向こう側の空はまだ雲もかかってなくて、





夕暮れ前の人の動きも、ここから見えるくらい近くて。








雄也「お前ほんとに思ってる？それ。」





「うん。」





…前の家は木が邪魔して見えなかったっけ。







雄也「まぁ前んとこは木があったから見えなかったけど。」






「ね。」






同じ風景を見て、




おんなじこと考えてたんだなーって思うと、







雄也「…A？」






「あさごはんよく一緒に食べたよね、あそこで。」






なにが正解なのかな。





もうわかんない。







雄也「おー。」






「海も連れてってもらった！」





雄也「うん。迷子になってなー。お前。」






「…うぁ、ぼさぼさ。」






見上げた雄也。





子犬を可愛がるみたいに、髪をくしゃくしゃにした。






「ん、でもだってあれは雄也の勘違いでしょー？」








男の子が迷子になってたの見つけて、





光くんと話してただけなのに、迷子センター駆け込んできちゃって。






雄也「んでナンパと勘違いしてケンカ売ったって言うんだろ？どーせ。」





えへへ。






雄也「かなわねぇよ。





もうなんとでも言ってください。」







「言うー。」






雄也「はは。かわんね、その顔。





っとにさー…なんでこんなにかわいいんだろ。」






いつかも聞いた気がするその言葉。





また髪をくしゃくしゃってする雄也の仕草。









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