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キスの意味を、
考えたところでどうしていいかわからなくなるばかりで、
「…起きちゃうよ」
雄也「うん。」
「うんって。」
ただ、私が少し困った顔でその首筋に触れた時、
彼はなぜか泣きそうな顔をして笑っていて、
「髪、」
雄也「…髪?
がどうしたの。」
泣き虫なとこ。
なおらなかったけど、
「んー?あかるいですねぇ。」
強がりと、誤魔化すのは上手になったよ。
雄也「そうなんですよー。すぐ色抜けちゃうんすよねぇ。」
手首に手を添えて、
私を引き寄せて、当たり前みたいに指を絡めて。
私ともう一度目があったとき、
安心したような子供っぽい笑顔を見せた彼の表情。
「ねぇ、」
雄也「ん?」
小さな寝息を抱きしめたまま、私の背中に手を回した雄也。
「ずっとなにしてたの?」
雄也「いや、普通に働いてたよ。働き口はまぁどーにかなるじゃん俺の場合。」
「うん、そうだね。」
ちゃんと、向き合わなきゃ。
そんなのわかってる。
…でも、
雄也「…お前は?」
「高校も無事卒業して、ふつうに成人式もしたよ。」
彼が合間に、男の人がする咳払いをしたとき、
雄也「…そっか。」
聞こえないくらいの声で、
自分に言い聞かせるようにそう呟いたとき、
きっと同じこと考えてるって思った。
「…うん、」
雄也「んっとに変わんねーよなー…
眠いとそうやって目ごしごしするんだよな。」
この時間も、きっといつかおしまいになる。
だって、
雄也「泣きそうなときも変わんねーし。
みょーに子供っぽいとこも相変わらず。」
雄也「まぁ…
…そっか、俺が置いて逃げたんか。」
…
逃げた、
雄也「今日コウの母ちゃん夜勤明けだろ?」
「うん、」
雄也「花火あるんだけどする?
…やり損ねた夏の残りだから湿気ってっかもだけど。」
「いいよ、」
そのあとのやりとりは、
不思議なくらい淡々と。
雄也「迎え行くよ、7時。」
「わかった。
朝ごはんにしよっか。光くん起きてるかな」
雄也「まだ寝てんだろ。俺たまごやきー。」
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にゃん(プロフ) - すごくお待たせしてしまったにも関わらず、真っ先にコメントをくださってありがとうございました。こつこつと頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年12月9日 22時) (レス) id: e86491d17c (このIDを非表示/違反報告)
あも ?(プロフ) - 更新待ってました!にゃんさんのペースでお話進めて頂けたらうれしいです、これからも楽しみに待ってます◎ (2020年11月21日 21時) (レス) id: 43b06d43a4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - いのりさん» お返事も、更新も遅れて申し訳ありません。あさやけへのコメントもすごく嬉しかったです!これからいろんな展開が巻き起こる予定なのですが、変わらずに応援して下さるとありがたいです。これからもよろしくお願いし致します! (2018年1月13日 13時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
いのり - にゃんさん!更新してくれてありがとうございます!にゃんさんの作品はとてもわくわくしてリアルで自分が本当に夢主にはなった気がします!にゃんさんのペースでいいので頑張ってください(^^) (2017年12月20日 17時) (レス) id: 333c8aa74a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 美咲さん» お久しぶりです!変わらずコメントを下さり、ありがとうございます。あさやけでは切ない場面が続いてしまい、私らしい作品がわからなくなってしまったのですが、もう振り切りつつ復活します!笑 丁寧に1つずつ書いていけたらいいな、今後ともよろしくお願いします! (2017年8月10日 21時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん | 作成日時:2017年5月4日 16時