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雄也「なんっもみえねー。」
「見えねー。」
雄也「A、俺の言葉遣い真似しちゃだめって。」
たまにそうやって私を注意する彼。
「えへへ。」
その言い方が優しくて、なんだか嬉しくて。
耳に髪をかけながらはにかむように雄也を見上げる。
木の根に両足を乗せて、不安定な体を支えるのに彼の腕を掴んだ私。
星と月は綺麗だけど、
空と海の境目が曖昧な夜の景色をみながら。
雄也「こわくねーの?」
「今はこわくないよ、雄也いるし。」
月、綺麗だし。
雄也「…そっか。」
ねぇ、
「…うん、」
雄也は今、なにを考えてるの?
表情は同じなのに、
いつもと違う気がする雄也に心がざわつく。
雄也「なんかさ、」
「…んー?」
夜空に視線を向けながら、わざと片手間で彼の言葉に耳を傾けるみたいに。
雄也「…いつの間にきれーになったな、A。」
「なに、どうしたの。」
雄也「すっげー大人になったよ、ほんと。」
「変だよ、雄也。」
思わず見上げた雄也の方がよっぽど大人で、
どうしていいかわからない私はずっと子供なのに。
「だって、ずっと一緒にいるじゃん。」
星と月明かりが海を照らして、私たちを照らすこの空間。
あえてとりとめのない繋ぐ言葉を、
雄也「…なぁどーすんの?
もし俺がいなくなっちゃったら。」
なんの前振りもなく、いきなり彼が突き出して壊す。
「わ、かんないけど、」
…いなくなっちゃったら、
「きっと、迷子みたいになっちゃうかなー。」
雄也「はは、ゆーやーって泣くの?」
「そう。泣くの。」
ね、雄也。
もう笑っちゃったからおしまいにしよう、この話。
雄也「じゃあ、いてやんなきゃなぁー…」
そう小さく呟いた彼。
さっきキッチンでしたよりもずっと優しく、私の後ろ髪をくしゃってした。
「どっか行っちゃうの?」
雄也「んー?なんで?」
…あ、
「だってなんで急にそんなこと言う。」
疑問形に疑問形で返すのは、嘘をつきたいとき。
雄也「いや、お前が急に綺麗に見えて焦っただけ。」
「へー。そっか。」
でもどれが本当で嘘なのかも、
どっちの言葉を吐いた彼も偽物っぽくて、幼稚な私にはわからない。
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にゃん(プロフ) - かえるさん» コメントありがとうございます。雄也くんらしさって、言葉にしてしまうと冷たく感じられてしまいがちで、不器用な優しさですよね。過去編では切ないばっかりでしたが、2ではしっかりきゅんにします!笑 これからも、よろしくお願い致します。 (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - レイナさん» コメントありがとうございます。そとづらから引き続き読んでくださってるのがすごく嬉しかったです!なるべく頻繁に更新できるよう、頑張りますね。またいつでもコメントお待ちしております。2も、引き続きよろしくお願い致します! (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - コメント失礼します。とってもキュンキュンするのに、切なくて泣いてしまって。雄也くんらしいな〜と楽しく拝見させていただいています。 これからも楽しみにしてます。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: 740f5ed62d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - そとづらだんしに引き続きあさやけだんしもダイスキな作品です!!にゃんさんのペースで更新頑張ってください!!どんなに時間経っても更新楽しみにしてます!!!がんばってください! (2017年4月23日 19時) (レス) id: 2b8f700843 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 美咲さん» お久しぶりです。ずっと前にコメント下さっていたのに今になってしまってごめんなさい。ちょっと考えてしまうことがたくさんあったので、やっぱり頑張ろうと思えました。これからも丁寧に書いていきます。よろしくお願い致します! (2017年4月16日 19時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん | 作成日時:2016年10月24日 23時