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episode51 ページ4

鬱蒼と茂る木々の中、幼い弥生さんはいた。
彼女と同じ高等部生と思われる連中に囲まれている。
でも、いつもの彼女なら、涼しげな顔をしてやり過ごしているのに、今の彼女は目に涙を溜めて怯えていた。
彼女の弱さを見た気がした。

弥生「み…皆の所に帰るー。」

その言葉に周りの奴らは無遠慮に笑う。

「誰もお前の帰りなんて待ってねぇよ。」

「人殺しのお前なんか。」

その言葉に弥生さんは固まった。

鳴海(まさか、弥生さん、その歳でもう。)

弥生「殺したくて………殺したくてやってるんじゃないもん!!!!」

大声を上げながら叫んだ彼女は、見るからに幼かった。

「人殺しのくせに、泣き喚いてんじゃねぇよ!!」

一人がアリスを使おうとする。
俺はとっさに彼女の前に立ち、アリスを奴らに向けた。

鳴海「そのまま大人しく、自分の寮に帰れ。」

自分でも驚く程の冷たい声が出た。
去って行く連中を視界の端で確認し、弥生さんに目を向ける。
彼女は涙を零して、目を真っ赤にさせていた。
見ていられなかった。
彼女はずっと耐えていた。
耐え続けていた。
それは今でも。
きっと変わらない。
幼い彼女をあやすように抱きしめ。

鳴海「大丈夫だよ。皆、弥生さんの帰りを待ってるから。」

弥生「…ホントに?えと……………にぃにも?……私、居てもいいの?」

鳴海(……そういや、名前教えてなかったな。)

突然の破壊兵器にクラクラしながら、彼女の頭を撫で続ける。

鳴海「そうだよ、居ていいんだよ。だから…。」

お願いだから。

鳴海「一緒に帰ろ?」

遠くに行かないで。

弥生さんは満面の笑みで、俺に抱きつき返しながら、頷いた。

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すず(プロフ) - 書き方やネタが面白いので続きを読みたいです! (2020年1月19日 19時) (レス) id: dd75245ad2 (このIDを非表示/違反報告)
アンちゃん(プロフ) - アンジェラさん» ありがとうございます!!亀更新でごめんなさい!頑張ります!! (2017年8月8日 22時) (レス) id: 4479435726 (このIDを非表示/違反報告)
アンジェラ(プロフ) - すごく面白いです!更新楽しみに待ってます! (2017年8月5日 16時) (レス) id: fcaa6342c9 (このIDを非表示/違反報告)
アンちゃん(プロフ) - れなさん» ありがとうございます!少しずつですが、頑張っていきたいと思います!応援ありがとうございます(^^) (2017年7月3日 23時) (レス) id: 4479435726 (このIDを非表示/違反報告)
れな - すごく好きな内容です!更新、楽しみに待っています!!! (2017年7月3日 22時) (レス) id: b08964eaab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アンちゃん | 作成日時:2017年2月3日 20時

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