【あんスタ】プロデューサーが元暗殺者の件について〜３〜【暗殺教室】

旅行の時間 ３時間目 ページ35

.





九州の中心とも言えるその場所の駅は、とても人が栄えていた。



見慣れない街並み、見慣れない風景が私の五感の全てを刺激する。



目の前の全てが、素晴らしく思えた。



「すごい……！」



「ちょっとぉ、先に行かないでよねぇ！」



何て言ってる、彼の声も今は遠く感じる。



心の中にあった部屋のドアが開き、そこからは眩しい光が差し込んだ。



「A」



「瀬名くん！世界の外側は、こんなにも明るくて輝いてるんだね！」



「……そうだねぇ」



瀬名くんは、笑う。



私につられて、笑う。



今の私は、きっと無邪気な子どものように笑っているのだろう。



今だけは、彼に子どもだと思われてもいい。



だって私は、外の世界の素晴らしさを知らないままだったのだから。



無知な子どものままだったのだから。



「A、そろそろホテルに行こう」



「うん、そうだね」



２人は、足並みを揃えて歩き出す。



真夏の夕方は、まだまだ明るい。

ドキドキの時間 １時間目→←旅行の時間 ２時間目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す