遊戯_003 ページ3
.
父「えぇ…っ？」
家族も困惑の表情。
.
「茂之が成邦舘高校に合格する確率は、
十分にあります。しかし！
…それは、夏休みの努力次第なんですっ」
父「けど…そう言われてもねぇ、」
慎「無理に決まってんだろ」
お茶を濁すような口調のお父さんとは対照的に
ぴしゃりと言い放った兄さん。
どうも兄さんは、彼が好きじゃないらしい。
.
すると、「これは君の為でもあるんだよ！」と
今度は兄さんへ声をかけた彼。
.
「高2の夏というのは気が緩んで、
非行にはしる子供も少なくない。
例えばっ…万引きとか？…傷害とか」
.
.
兄さんに限ってそれは、と思っていると
やっぱりお父さんも同じことを考えていたみたいで。
うちのは大丈夫だろう、と笑ってソファにもたれた。
「そういうのに限って危険なんですよぉ、
そう思いません？」
それでも諦めない例の人。
.
.
母「一緒に…住んでいただいたらどうかしら」
お父さんが驚く横で、
彼がワザとらしく大きく頷く。
父「けど、慎一が…」
すると、兄さんの方にするすると歩み寄り
肩を組むような体勢になった。
.
.
「いいでしょお？
…いいよねぇ？ねぇっ？！」
そしてすぐに
こくこく、2回首を縦に振った兄さん。
茂「頷いたぁ！」
嬉しそうな声色の茂之。
.
.
あの人、一体兄さんに何を吹き込んだんだろう…
.
「納得してくれた様ですっ」
満足げなドヤ顔。
直後、外からガタガタと物音がして、
インターホンが鳴った。
隠れなきゃ、と思ったが
廊下の端にちまっと座るだけで、
逃げ場所を探す暇もなく扉が開かれる。
一瞬、彼と目が合った。
.
.
貴「っあ…」
.
.
だけど、
彼は「あぁ…」と呟き一人で頷き
それ以外は何も言わず玄関のドアを開けた。
.
突然やってきたのは、引越し業者の人たち。
黒いスーツケースを受け取ると、
宅配用の毛布にくるまれた大きい荷物を
素早い誘導でリビングに招き入れる。
.
あの荷物は…ベッド？
.
.
「こちらにお願いしま〜すっ」
そして運び入れたのはリビングの横にある…
.
.
.
.
「では、本日より…
…お世話になりますっ！」
ぺこりと頭を下げ、
スーツケースを運び入れるその人。
.
.
…そこ、
私の部屋なんですけど…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神楽(プロフ) - 久しぶりに更新されていて、すごく嬉しかったです。これから頑張ってください。 (2018年2月26日 16時) (
レス) id: 18494a4f50 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - 神楽さん» コメントありがとうございます。ご期待に少しでも添えられる様、これからも頑張らせて頂きますっ！ (2017年7月30日 0時) (レス) id: 7adddb01cf (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 前回の作品もすごく面白くて好きな作品だったので、今回の作品もたのしみです！更新頑張ってください。 (2017年7月29日 21時) (レス) id: 18494a4f50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夕凪 | 作成日時：2017年7月29日 3時
