迷路#1_003 ページ13
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貴「茂之…多分そこダメだよ…」
吉「ちょっと…大丈夫？」
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私達からの忠告も虚しく
「もうやっちゃいましたから」とだけ言って
真剣に木片を抜き取った茂之。
直後、派手な音を立ててそれは崩れてしまった。
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吉「あ〜っ、だから言ったのにぃっ！」
貴「そうだよっ、茂之のばか〜！」
茂「ばかってなんだよぉ！
姉ちゃんもさっき崩したくせにっ！」
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慎「…A」
貴「あ。兄さんおはよ！
今ジェンガやってるんだけど良かったら、」
慎「出かけるから。……付いてきて」
貴「えっ、あぁ…わ、分かった」
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トートバッグを抱えた兄さんの後を、
携帯だけパーカーのポケットに入れて追いかける。
母「慎ちゃん？どこ行くの？」
慎「……」
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慎「久しぶりに買い物にでも連れて行こうと思って…
昨日話してたんだよ。ね、A？」
貴「え？…っあ、うん。そう！行ってきます！」
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日陰のない家の前の坂道を慌ただしく下りつつ尋ねる。
貴「ちょっと、本当にどこ行くのっ？」
慎「マキさんのとこ…証拠集めだよ」
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「…その子は……」
長い髪を後ろで束ねた
綺麗な女の人。
彼女がその、マキさんらしい。
慎「僕の妹、Aです」
貴「…は
初めまして…」
マキさんは
少し驚いた様な顔をした後で何度か頷き、
よろしくね、と手を差し出してきた。
ぺこりと頭を下げ
その手をとる。
「私は…立花真希。よろしく、Aちゃん」
貴「…はい」
真「ふふ、そんなに怖がらないで！
…私の中のルールでは、握手したらもう友達なんだから？ねっ」
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『握手したら友達！ね？』
『何それ〜っ』
『え…今決めたルールなの！ほら＿＿』
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貴「…っ……？」
いきなりズシン、と重くなる頭。
昨日の夜に感じたそれより
ほんの少し、痛みは大きくなっていた。
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慎「A？…どうしたの」
貴「えっと…熱中症かな……
…コンビニ、寄っていいですか？」
真「いいよ。途中に何軒かあるから」
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セミの鳴き声が響く夏の街で、
私の中に、言葉には表せないような
小さくて暗い予感が
ぽっかりと生まれていた。
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神楽(プロフ) - 久しぶりに更新されていて、すごく嬉しかったです。これから頑張ってください。 (2018年2月26日 16時) (
レス) id: 18494a4f50 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - 神楽さん» コメントありがとうございます。ご期待に少しでも添えられる様、これからも頑張らせて頂きますっ！ (2017年7月30日 0時) (レス) id: 7adddb01cf (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 前回の作品もすごく面白くて好きな作品だったので、今回の作品もたのしみです！更新頑張ってください。 (2017年7月29日 21時) (レス) id: 18494a4f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕凪 | 作成日時：2017年7月29日 3時
